2008-01-01から1年間の記事一覧

1年の終わり

3度目の風邪も何とか収まりつつ、年末は寝床で過ごしてしまった。でも風邪が治る時の養生って快適です。つまり体調はほぼ普通になっているのに、何もしない事が認められている状態、これが心地よい。 ブログに書く事も仕事と関連付けると何か有意義な事をし…

最後のハリウッド・テン

リング・ラードナー、Jr(1915‐2000)の『われとともに老いよ、楽しみはその先にあり』(清流出版、2008)を読むと、ハリウッド・テンの最後の生き残りであった彼は比較的穏やかな晩年を迎えたようだ。高名なスポーツ・ライターを父に持つジュニアはキャサリ…

懐かしい!

Googleで何となく探していたら、1997年ロンドンに4か月滞在していた時のお気に入りのパブが見つかった。住んでいたフラットはロンドン西部、パディントンの少し北のメイダ・ヴェイルにあり、ロンドン東部のキングス・カレッジ(ロンドン大学)まで毎日バスで…

Pastoral(牧歌)

昨夜は腰痛がひどかったが、今日は少しいい。でも、飲み会は残念ながら不参加。で、また休みながら本を読んでいて、こんな詩に出くわした。 長篇詩Patersonを代表作とするモダニズム&イマジスムの詩人William Carlos Williams(ウイリアム・カーロス・ウイリ…

老いを歌う

老いを歌う詩となるとついDylan Thomas(ディラン・トマス、1914 -55)の"Do Not Go Gentle into That Good Night"を思い出してしまう。でもブラウニングの老いとは神が予定(デザイン)していた人生の最良の時間なのだという穏やかな肯定ではなく、39歳で飲…

三度目?!

昨日は朝30分雪かき。その後D○F井で年賀状を受け取って、DデパのK楼で坦々麺(+湯葉の春巻き+生ビール+紹興酒グラスで)を食べてから、地下でブリ(天然)とツボ鯛の切り身と、アプリコットのお菓子を買って、歩いてTハンズへ(これが良くなかったのかな…

女流写真家の視線

Tobacco Road(『タバコ・ロード』)で知られるErskin Caldwell(アースキン・コールドウェル、1903‐87)は1939年から1942年まで、写真家のMargarete Burk-White(マーガレット・バーク=ホワイト、1904‐71))と結婚しており、二人で写真集You Have Seen Th…

シーラーの描く都市と機械

チャールズ・シーラー(1983‐1965)はプレシジョニズム(precisionism)と呼ばれる一派で、彼自身が写真家でもあるので、そのフォト・リアリズムとも呼ばれる手法は写真とどう区別するのか、写真の持つリアルさとどう折り合いをつけるのか、難しい。プレシジ…

出勤・デパ地下・洋書

昨夕大学から電話がきて、24日締め切りのシラバスを提出してないと怒られる?それで今日は歯医者さんによって治療&スモークの方法のレクチャーを受け、大学へ。書類を提出して狸小路のK州で坦々麺(紹興酒つき)。J堂の洋書売り場に行ってみるがその品揃え…

一遍に?!

予報通り夜半からの降雪と吹雪で一遍に雪景色となった。灯油代がもったいないので電源を切ってある車庫前のロード・ヒーティングの雪かきからはじめないと除雪道具をしまってある車庫が開かない。札幌では30cm前後(市内でも場所によって違う)降ったらしい…

書店とラーメン

家人と待ち合わせ。時間があるのではじめてJ堂に行ってみる。思ったよりも本の数と種類が揃っている。アメリカ文学だけで本棚2本っていうのはここくらいか。以前の日記で貶してすみません。でも雰囲気は駅前の紀伊国屋がいいなぁ。 頼みのC・マッカーシーの…

いちおうクリスマス・イブですから?

中年夫婦でもクリスマスって何故か、ケーキかワインか花か用意してしまうのは、制度の中で惰性で生きているせいでしょうかね?ケーキは夕方のデパートに行くと行列ができていて並ぶ気にもなれず、花だけ買って帰る。家ではそれなりに料理を用意してくれてい…

もう一人の黒人画家

黒人の画家ってアーロン・ダグラスとジェイコブ・ローレンスくらいだろうかと書いてしまったが、ホレス・ピピン(1988‐1946)を忘れていた。独学で絵を学び、アメリカ社会の人種差別を、黒人画家に共通する独特のフォーク・アート風の筆致で描いた。 自画像…

定番――都市の孤独

都市の孤独というテーマの絵画の定番と言えば、エドワード・ホッパー(1982‐1967)の「ナイトホークス」(1942)になるだろうか。それでできるだけ掲載を避けて?きたのだけれど挙げない訳にはいかないだろう。 よく見るとその横長の構図や静止した人物の動…

都市と黒人

アフリカ系アメリカ人の画家はそう多くない。アーロン・ダグラス(1899‐1979)、ジェイコブ・ローレンス(1917‐2000)くらいだろうか。アーロン・ダグラスの絵は、マンハッタンの北ハーレムにある市立図書館の分館ショーンバーグ記念館で見た。どちらもある…

フリーウェイを描く

2001年ニューヨーク滞在中に行ったグッゲンハイム美術館でウェイン・ティボー(1920−)という画家の回顧展と出くわした。こってりとした油絵による食べ物の連作と、フリーウェイに関する作品が印象に残った。 カリフォルニア育ちのティボーはサンフランシス…

物語るアメリカ絵画

アメリカ絵画の特徴は抽象画ではなく、具象画・リアリズムの絵だと思う。そしてアメリカ的な大衆文化の中で、コマーシャルな世界で生計を稼ぎながら自分の絵をかく画家が多い。イラストレーターと画家の二足のわらじを履く。その作品もどこかマージナルな趣…

異邦人の視線

イギリスの画家が陽光あふれるカリフォルニアでプールの絵を連作する。タイトルの「より大きな水しぶき」はホックニーを主人公としたドキュメンタリー映画のタイトルにもなる。そこには何故か水着の女性でなく裸の男性が描かれる。あとから知ったがデヴィッ…

アメリカを切り撮る

スイスに生まれアメリカに移住したロバート・フランクはウォーカー・エヴァンスの影響を受け、第2大戦後の繁栄を謳歌しているはずのアメリカを『アメリカ人』で描いた。それは先輩の眼差しと微妙に異なる異邦人の視線だった。写真集の表紙にも使われているこ…

都市を切り撮る

画家に比べると写真家の方が都市を被写体とする作品が多いようだ。不況期に活躍したウォーカー・エヴァンスの『アメリカン・フォトグラフス』は同時代のへミングウェイやエズラ・パウンドの名前をあげて文学的抑制と的確さと複雑さを併せ持つ、現代詩にも似…

都市を描く2

アメリカン・シーンの画家の一人チャールズ・シーラーは写真家兼画家であった。写真と絵画の関係は微妙だが、シーラーは自分の撮った写真を元に絵を描く事もあったらしい。彼の工場や機関車の車輪を描く超細密画は写真とは別次元のリアルさ(スーパー・リア…

都市を描く

自然志向のアメリカ絵画ではあるが都市を描くものもある。日本のイラストレーター(山藤章二、和田誠など)にも影響を与えた事で有名なベン・シャーンの「ハンドボール」(1931)は都市の片隅で壁を利用してハンドボールをする少年たち。この絵柄をどこかで…

アメリカを描く

グラント・ウッド(1891‐1942)はフロンティア消滅時に生まれ、第2次大戦にアメリカが突入した頃に亡くなっているが、「アメリカン・ゴシック」という不気味?な一組の男女(夫婦か親子か兄妹か)を描いた絵で有名だが、田園を幻想的に描いたものやここに紹…

南北戦争後のアメリカ表象

講演で独立戦争後、建国期における言説に現れない神話と言説化された神話の形成について教えられた。アメリカ絵画を歴史的に見ていて、ウィンズロー・ホーマーは19世紀前半の生まれなので、建国後の南北戦争の時代に画家のキャリアをはじめ、イギリスやカリ…

支部大会終わる!

土曜日2時から6時まで北星学園大学でアメリカ文学会北海道支部の支部大会があった。講演には同志社大学から関西支部長の林以知郎先生をお招きし、アメリカ建国記の偉人・異人とJ・F・クーパーの作品から、建国の神話の形成について話してもらった。 後半は北…

漱石というモデル

夏目漱石は日本の英文学研究の祖とも言える。英語・英文学(という概念もなかったけれど)関係の国費留学生第1号だった漱石のロンドンでの苦闘ぶりはよく知られている。英語教育の研究を求められながら、文学研究を目指した漱石は、先進国イギリスと日本の差…

巨星落つ

柴田さんによるサリンジャーの新訳に関する記事の下にショッキングなニュースがあった。明治31年(1898年)創刊の英米文学関係の研究誌『英語青年』が休刊になると言う。でも明らかにこれは事実上の廃刊だ。 数年前に神田神保町にある明治33年(1901年)創業…

書店と町の文化度

丸井南館に神戸のジュンク堂が開店する。駅前が紀伊国屋を中心に旭屋書店、三省堂があるのに、大通は三越隣の丸善が撤退して寂しい限りであったので、まぁ朗報ですね。 まぁ、というのはまたも大型店である事が少し引っかかるから。小型・中型の専門店が数店…

柴田さんとサリンジャー

昨日の朝日新聞に柴田元幸さんがサリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』の新訳を出す話が載っていた。柴田さんは『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を出した村上春樹の英語の師匠(チェッカー)でもある、アメリカ文学の翻訳に関する第一人者だ。 札幌に講演…

復活?!

また風邪がぶり返してしまいました。土日大人しくしていたのに日曜の夕方から暗雲が… 今度は咳と痰が苦しくて、朝早速病院へ。細菌の感染を抑える抗生物質入りの薬を服用しているので、今日の忘年会はアルコール抜き(泣)。 この薬は3日分服用して1週間効く…