巨星落つ

柴田さんによるサリンジャーの新訳に関する記事の下にショッキングなニュースがあった。明治31年(1898年)創刊の英米文学関係の研究誌『英語青年』が休刊になると言う。でも明らかにこれは事実上の廃刊だ。

 数年前に神田神保町にある明治33年(1901年)創業の英文学に関する洋書・古書の老舗、北沢書店の鄯階が小学館系のフロアになった時に、がっかりした記憶がある。最近はそんなに頻繁に訪れていた訳ではないが何となくずっとあるものだと思い込んでいた。1991年の大学設置基準の大綱化以来の教養離れ、大学の英文科の減少によるも影響がはっきりと目に見える形で現れた。

 そして数年前からから囁かれていた『英語青年』の不安定な状況が今回の決定的な結果となった。僕も含めて英文学研究者はいつかこの雑誌に論文を掲載したい思っていたのだが、その場が消えてなくなった。

 『英語青年』の廃刊の理由としては、上記に付け加えて、英文学の専門誌としながら現状は英米文学・英語学・英語教育とそれぞれ別の学会・学会誌を持っている事も挙げられるだろう。つまり大きな研究ジャンルを一つの雑誌でカバーする無理は目に見えていた。同様のことは英文学会にも言えるだろう。と言う事は、そう遠くない将来英文学会もまた…