2008-01-01から1年間の記事一覧

人種の境界を超える

ダグラス・サーク・コレクション(DVD)を研究費で買った理由はよく覚えていないが、『天はすべてを許す』(1955)よりも前に『悲しみは空の彼方に』(1959)の方に関心があった。 この作品はファニー・ハーストという女流作家のImitation of Lifeという当時…

郊外を描く映画

アメリカの郊外を描く映画はいくつもあるが、『エデンよりも彼方に』(2003年、トッド・ヘインズ監督)もその一つだ。トッド・ヘインズと聞いて『ベルベット・ゴールドマイン』を思い出すのはかなりの映画好きか音楽好きだろう。 しかしこの新作は1950年代の…

Wild is the Windを聴く

『ベルベット・ゴールドマイン』からの連想かデヴィッド・ボウイの話です。特にボウイが好きという訳ではないが、1976年のSation to Stationは買って聞いていた。クールでソウルフルというか。特にWild is the Windがいい。 この曲は1957年の『野生の息吹き…

リー・オスカーもね

黒人のファンク・バンドWarの唯一の白人ミュージシャンのリー・オスカーのハモニカ(=ブルース・ハープ)が好きだった。70年代は彼のソロ・アルバムPromised Landからの曲が資生堂のCMに使われていた。最近実家を喫茶店に改装した中学時代からの友人とこの…

レポートは難しい?!

2学期の金曜日2部2時間目は今年で2年目の「北米文化論」。昨年作ったパワーポイントを適宜アレンジしながら準備して臨んでいる。 で昨夜講義後学生4,5人がレポートのテーマについて質問してきた。与えたのは「アメリカの都市と郊外」という枠の中で、自分で…

真冬

昨夜から雪が降り続いている。12月ももう中旬なので根雪になってもおかしくはない。でもまだテニス・コートのそばを通る時、乾いたらまたできるかなとつい考えてしまう。が。ごれでもうふっ切れた(?)。 冬用の週末の過ごし方をきちんと考えなくては。昨年…

直らない

昨日は病院に行って薬をもらい、一日養生(つまり寝たり起きたり)していたのに、良くならない。やむを得ず今日の午前中の授業を休講にする。木曜日は行事等での休みが少ない曜日なのでなんとかなるが明日は休めない。 来週は毎日委員会と、学部の忘年会(幹…

不覚?!

昨日の午後、授業が終わると喉が痛く、体がだるい。日曜日に泊まった大阪のホテルの部屋が少し寒かったのと人ごみなどで風邪をひいたようだ。 木・金と授業があるので、今日中に直そうと近所の内科へ。風邪で病院ってのはめったにない。第一風邪も簡単にはひ…

ビフカツは美味しい

以前銀座の「煉瓦亭」で食べたビ−フカツが美味しかった。 一度本場大阪のビフカツを食べてみたいと思っていたのが、今回新梅田食堂街のお店で試してみた。 「スエヒロ」という老舗のステーキ屋さんのような名前の、喫茶店のようなお店。カウンターに60代の、…

信頼できない語り手と狂気

大阪の旭屋書店で腰巻の若島正解説に惹かれてパトリック・マグロア(Patrick McGrath、マグローと呼びたいところだけれど)の『スパイダー』を買う。ナボコフ研究家の若島さんは最近『ロリータ』の新訳も出した尊敬する学者だ。アメリカ文学関係の同じ委員会…

不満足な?アートの時間

ホテルをチェックアウトした後、荷物を駅のロッカーに預けて、地下鉄で東山へ。歩いて国立京都近代美術館に行く。平安神宮の鳥居の真前にあり、向いが京都市立美術館。 エモーショナル・ドローイングという企画展はいまいち。所蔵作品を展示している作家では…

関西は遠い

7時50分千歳発に合わせて札幌駅6時34分発乗車を予定し、自宅まで5時50分にタクシーに来てもらう。5時くらいに起きれば間に合うのに、4時くらいに目が覚めて新聞を読みながらコーヒー。 10時20分に関空到着。着陸してから建物まで10分くらいかかる。特急はる…

『ジャズ・シンガー』における人種の政治学

2001年コロンビア大学に半年いた時に、黒人とユダヤ人の文化的交錯に関心があったので『新映画論集成1』に収録されていたエラ・ショハットの「人種の関係性」のコピーを持参して読んでいた。 ある民族集団が映画にどのように表象されているかについての研究…

美味しい坦々麺を求めて

いつの頃からか美味しい坦々麺を探すようになった。 12年前に結婚してから家内の好みに影響され辛いものが好きなってしまった。お味噌汁に一味唐辛子をかけるような。 今年の1月まで東急デパートの10階にあった「チャイナ・テーブル天府」が坦々麺のベストだ…

しまった?!

金曜日からの出張のつもりが土曜日からになっていた。 最初は土曜日の大阪大学で開催される映画学会に行く予定だった。その後金曜日に京都大学で人種関係のシンポがあるというメールが入った。 たぶん1年前にアメリカ文学会の北海道支部でやったシンポジウム…

へミングウェイの人種観

土曜日は研究談話会だった。旭川の本荘さんによる「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」と「キリマンジャロの雪」に見られるアフリカ先住民に対する人種意識がどのように描かれ、それが同時代のアフリカ人の意識、不況下のアメリカン人によるサファリ…

Atlantic Crossingと70年代のロック

ロッドのAtlantic Crossingは、LP時代のB面を歌いながら聞いていました。もちろん酔っ払って。 浅川マキも「それはスポット・ライトじゃない」ってカバーしていましたね。 明日の授業では学生が自分で選んだ曲がニール・ヤングの「オハイオ」とボズ・スキャ…

今度は『越境』

アメリカの作家コーマック・マッカシーの「国境三部作」について書きたいと考えている。 きっかけは映画で『すべての美しい馬』(2000年)がよかった事だった。ビリー・ボブ・ソーントンの監督も主演のマット・デイモンも悪くなかった。というのは好きな俳優…

逝きし世の面影

これは失われた世界・時代への郷愁という事になるでしょうか。『逝きし世の面影』が昨年読んで以来、心に残っている。著者の渡辺京二さんは在野の研究者らしいが、江戸末期から明治初期の日本に来た欧米人が見た日本人(農民など庶民)の、貧しいけれど満ち…

Chega de Saudadeの様々な解釈

歌手や演奏者は意識的もしくは無意識に自分を刻印する。 でも自己満足でも構わないカラオケではないのだから、テクニックと個人的特徴(声の質、楽器を操作する手くせ)を超えて聞き手に伝わるものが必要だ。曲に寄り添いながら、如何に歌手・演奏者の個性を…

Chega de Saudadeと「想いあふれて」

このブログのタイトルの郷愁と関連するのだけれど、曲調(メロディ)と「想いあふれて」という邦題でノスタルジックな内容の 歌詞かと思ったらそうでもない。 原題の訳は英語版アイトルのNo More Bluesと英語字幕のno more longingから「悲しみはもういらな…

「越境と郷愁」の意味

1997年ロンドンで柄谷行人の『言葉と悲劇』を読んでいた時に気になっていたのは個と共同体の問題に関わる以下の引用だった。それは12世紀ザクセン出身のフランスの修道僧サン=ヴィクトルのフーゴーの「学習論(ディダスカリコン)」の一部だった。 祖国を美し…

休日(平日)の過ごし方

水曜日は授業がないので会議が入っていない日は家にいます。 朝いちで旧居(まだ処分していません)そばの床屋さんへ。その後故障中のステレオの修理にメーカーの人が見える。気さくで感じがいいが少ししゃべり過ぎかな。 山の手に最近できたラーメン屋さんへ…

Youtube活用

授業や講演でYoutubeを利用している。 今のところロックの歌詞を読む英語文化演習が一番利用度が高いかな。 なぜかと言うと、他の授業ではYoutubeの画像の粗さ(特に教室のスクリーンで拡大すると)が気になるが、音楽が中心の映像ではそれが気になる度合い…

これでうまくいくかな?

10月からの講演やシンポが一段落して、授業の準備と研究の再開などを始めるつもりで始めたのですが。 タイトルも「越境と郷愁」もいいかな。サウダージというボサノバの曲のタイトル(=郷愁)に触発されますが、この言葉ではポルノグラフィティ関係のコメン…

ブログ開設

ホームページの掲示板が9月以降うまくいかないので、こちらにブログを開設しました。 書評もどき、映画、音楽、授業、日々の雑感を書き連ねようと思っています。 読者と書き手の双方にためになるようなブログを目指して。