定番――都市の孤独

 都市の孤独というテーマの絵画の定番と言えば、エドワード・ホッパー(1982‐1967)の「ナイトホークス」(1942)になるだろうか。それでできるだけ掲載を避けて?きたのだけれど挙げない訳にはいかないだろう。
 よく見るとその横長の構図や静止した人物の動きから決してリアリズムではない事が分かる。ネット上でもいろんな人がいろんな事(よく読むとだいたい似たような)を言っているが、そのようなイメージを書きたてる、物語を内包した絵だと言える。
 でも大体は、都市の孤独、不安、倦怠、といったところに終始してしまうのもやむおえないか。想像力をかきたてるようで、その方向は固定している。この構図や雰囲気は映画や小説にも影響を与えている。マイクル・コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズ(主人公の名前自体が画家の名前からとられている)の『ナイトホーク』もそう。
 ホッパーのファンではないけれど、ニューヨークのホテルのロビー、アパートの部屋、窓からの眺め、などアメリカの都市を描いた画家としてははずせないだろう。