もう一人の黒人画家
黒人の画家ってアーロン・ダグラスとジェイコブ・ローレンスくらいだろうかと書いてしまったが、ホレス・ピピン(1988‐1946)を忘れていた。独学で絵を学び、アメリカ社会の人種差別を、黒人画家に共通する独特のフォーク・アート風の筆致で描いた。
自画像やジョン・ブラウン(白人の奴隷解放論者、死刑になる)が有名らしいが、ここでは都市のゲットーに住む黒人を描いた作品を掲載。でも左の「インテリア」ではストーブ傍の母親と机に向かう少年の住まいは貧しいながらも落ち着いた佇まいを見せている。右の「ハーモナイジング」では外で楽しそうに合唱している風景が微笑ましい。このような絵にもその背後の黒人社会の実相を読み取る必要があるのだろうか。