シーラーの描く都市と機械

 チャールズ・シーラー(1983‐1965)はプレシジョニズム(precisionism)と呼ばれる一派で、彼自身が写真家でもあるので、そのフォト・リアリズムとも呼ばれる手法は写真とどう区別するのか、写真の持つリアルさとどう折り合いをつけるのか、難しい。プレシジョニストにはジージア・オキーフもいて、彼女の夫(師匠)とシーラーも親交があるので、当時のアメリカン・シーンの芸術家たちはお互いに影響を与えあったのだろうと思う。
 シーラーはRolling Powerのように自分の撮った写真を元に細密画を描くのだが、普通は写真を元に絵を描くことは公表しないが、彼の場合はその点は気にしないようだ。でも結果としてのスーパー・リアリズムは、明らかに写真とは違う機械の細部への渇望が読み取れる。
 手法的には細密画派、テーマとしては都市と機械文明と言える画家だが、前褐のWindowsでも述べたように、このCanyonでも、高層建築の立ち並ぶ様子を自然の峡谷に見たてながら、温かい柔らかな色彩と描線が好きだ。