南北戦争後のアメリカ表象

 講演で独立戦争後、建国期における言説に現れない神話と言説化された神話の形成について教えられた。アメリカ絵画を歴史的に見ていて、ウィンズロー・ホーマーは19世紀前半の生まれなので、建国後の南北戦争の時代に画家のキャリアをはじめ、イギリスやカリブ海に滞在し20世紀初頭まで海辺の絵を初めてとして様々な絵を書き続けた。

 アメリカ絵画の主流って、多くの人が考えるほど抽象絵画ではなく、愚直なほどの具象性がその本質だと思う。ホーマーやホッパーやワイエスに見られるのは、くイラストか書き割りとも思えるほどの具象性と物語性だ。
 それと1960年代のポップ・アートを視野に入れると、大衆性もアメリカ絵画の特徴と言える。物語を内包する絵って文学的とも、分かりやすい書き割り的なアートとも言える。意味が表面に滲み出ていて面白い。でも分かりやすい分、純粋芸術とみなされない危険性もある。でもその辺りの境界線にあるポジションがポストモダン的な気もする。

 1894年の「アディロンダックのガイド」においてはニューヨーク州北部の自然の中で老ガイドが同時代イギリスの文化人類学者フレーザーの『金枝篇』の世界を髣髴とさせる神話的な時間が静止している雰囲気が感じられる。
 都市と郊外のアメリカを描いた絵画と写真を探しているのだが、どうも自然を志向する作品が多いような気がする。