都市を描く

 自然志向のアメリカ絵画ではあるが都市を描くものもある。日本のイラストレーター(山藤章二和田誠など)にも影響を与えた事で有名なベン・シャーンの「ハンドボール」(1931)は都市の片隅で壁を利用してハンドボールをする少年たち。この絵柄をどこかで見たことある?

 今では指揮者で有名なアンドレ・プレヴィンのジャズ・ピアノ『ウエストサイド物語』のLPジャケットに使用されていた。マンハッタンのウエストサイドはヘルズ・キッチン(映画『スリーパー』の舞台)とも呼ばれていたフッド(犯罪多発地域)である。「ハンドボール」は特にウエストサイドを描いているわけではないが、都市の周辺もしくは貧困層居住区というイメージでとらえられている事は間違いない。
 ベン・シャーンは日本の福竜丸事件や、イタリア系アナーキストであるサッコとヴァンゼッティの冤罪事件を描いた絵でも有名。