フリーウェイを描く

 2001年ニューヨーク滞在中に行ったグッゲンハイム美術館でウェイン・ティボー(1920−)という画家の回顧展と出くわした。こってりとした油絵による食べ物の連作と、フリーウェイに関する作品が印象に残った。
 カリフォルニア育ちのティボーはサンフランシスコの坂道など、都市の道路、幹線道路などを好んで描く。アメリカ文明を都市文化を象徴するような対象を荒々しく、油絵の特徴を強調するようなタッチで描く。都市の拡大は交通機関の発達が不可欠だった。1920年代にフォードのオートメーション化により自動車が大量生産され自家用車が多くなる。都市と郊外や都市間をつなぐハイウエイ、フリーウェイはすぐれてアメリカ的な風景とはいえ、絵画の対象となる例はあまり多くない。
 しかしここで取り上げたのは、隅に猫を置いて物質文明を客観的に少しだけ横目でユーモラスに見るような視点を定めているように思える。