2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

5年分を1週間で

『ブレイキング・バッド』の5シリーズ+ファイナル、5年半分の放送を収録したDVD24枚を先週の金曜から翌週の木曜までかけて、ついに見てしまいました。今のテレビのDVDレコーダーが故障中なので、仕事部屋のPC(20インチ)で、家内の非難を受けながら見続け…

閉じ込められ/押し出されて

ヒップホップ論を書いている時に、アメリカの黒人が「閉じ込められてきた」事について書いた。つまりアフリカから誘拐されて奴隷船に閉じ込められて、アメリカにやって来てからは南部の大農園では奴隷小屋に閉じ込められ、奴隷解放後は都市のゲットーに閉じ…

言論の自由と抑制

昨年末に有名な俳優が亡くなった時に、僕がその映画評を信頼して読んでいるある映画評論家が追悼文の依頼を断ったいきさつを映画雑誌に書いていました。それはその俳優のある時期の映画がピークだと評価するので断ったという事でした。また映画にも詳しい別…

ロボコップと記憶

卒研コンテストの審査をしましたが、懐かしいアシモフの「ロボット三原則」に言及する論文がありました。でも結論としてロボットと人間の共生を探るという頓珍漢なものになっていました。ロボットについて考えるというのは、フランケンシュタインやアンドロ…

あきらめない

錦織選手が4回戦に勝って準々決勝に進出が決まった。4回戦の対戦相手は、スペインのダヴィド・フェレール、32歳、175㎝。最高ランキングは2013年全仏で同じスペインのナダルに決勝で敗れた時の第3位。その強靭なフットワークでとにかく走り回って、ボールを…

卒研コンテスト

学部の卒業研究コンテストを昨年から始めました。2学科1・2部から募集して、最優秀1点・優秀3点を選びます。昨年は自分のゼミから何人か推薦したいと思ったのですが、残念ながら今年はいません。さて今年は学会委員として選出する側になりました。全部で13…

アメリカ版『生きる』

『ブレイキング・バッド』をアメリカ版の『生きる』とみなす事もできます。1952年(昭和27年)黒澤明の『生きる』では胃癌で余命短い事を知らされた初老の市役所課長が、官僚主義の抵抗にあいながらも、市民のために公園を完成させてなくなる。しかしアメリ…

ミニマルな音楽

僕はある時ボサノバってミニマルな音楽だと思うようになりました。例えばジョビンのギターを爪弾いて呟くような歌い方は、サンバ的なパッションやオペラ的な歌唱とは対照的です。本家ミニマル・ミュージックの代表的な音楽家にフィリップ・グラスがいます。…

Breaking Bad/道を踏み外す

最近は研究図書費でアメリカのTVドラマのDVDを買う事が多い。ちょうど1年前は『マッドマン』と『スーツ』にはまっていた。でも深い内容ではないので続編にはあまり関心がありません。飽きやすい性格なんです。今回は2008年から2013年までの『ブレイキング・…

ボサノバとジャズ

ボサノバをサンバとジャズからできた音楽という誤解がけっこう普及しているんですね。Wikiはそれなりに正確だけれど、例えば「Yahoo知恵袋」ではいろんな質問にいろんな人が勝手に答える。正しい回答もあるけれど、よくもこんな適当な知識で回答するものだと…

サンバとボサノバ

長谷川きよしかバーデン・パウエル。僕のサンバ体験は17歳の高校生の時に初めて買ったLPが長谷川きよしの『ひとりぽっちの詩』で、冒頭の「別れのサンバ」やアダモの「ブルージーンと革ジャンパー」など佳曲揃いだった。 バーデン・パウエルの方は「悲しみの…

モラエスとモライス

『弧愁(サウダーデ)』(文藝春秋、2112)でモラエスという日本文化を伝えたポルトガル人について知りました。新田次郎の未完の作品を息子の藤原正彦が書き継いで30年越しに完成させた『弧愁(サウダーデ)』(文藝春秋、2112)がその本ですが、日清・日露…

北大映研出身の映画評論家

北大時代に幾つものクラブ・部に入りましたが、何一つものになりませんでした。最初は邦楽研究会。これは1年先に現役で入学していた高校の同級生が入っていたので。それと当時のジャズと尺八のフュージョンとも言える山本邦山の『銀界』(1970)に憧れたのか…

初めてのスノー・シュー

吹雪の翌日、滝野すずらん公園で開催のスノー・シューのガイド・ツアーに参加。西野から真駒内の芸術の森のさらにその先の滝野までほぼ1時間。車に乗せてくれたSさんはテニス仲間だけれど、スキーの方が得意な人で、前は歩くスキーに誘ってくれたけれど、今…

統一と混乱

4年ぶりに大学入試センター試験の監督をしました。説明会があり、その後も分厚い監督要領を含めて、2度読みましたが、様々な事例に対する対応がフロー・チャートになっていますが、途轍もなく面倒です。 日本中の受験生に公平にしようとするとこうなるのでし…

『ドファララ門』体験

ジャズ・ピアニストにして文筆家である山下洋輔さんの『ドファララ門』(晶文社、2014年12月)をとても楽しく読んだ。20年前に父方の祖父が建てた鹿児島の刑務所を発見したピアニストは明治維新と西郷隆盛と、日本のみならず欧米の刑務所をライブをやりなが…

ピンチョンと映画

難解をもって知られるピンチョン文学の中で一番読みやすい『LAヴァイス』(Inherent Vice、2009)。僕は一応専門をポストモダン小説としていますが、あまりにも昔のポール・オースター論以外書いていません。どのくらい昔かというのは恥ずかしくて言えないく…

フレンチ・ポップスの異才

ミケランジェロ・アントニオーニが初めて英語の、そしてイギリスが舞台の映画を撮ったのが『欲望』(Blowup, 1967)。このブログでも時々ふれているデヴィッド・ヘミングスが演じるファッション・カメラマンが撮った写真を拡大(blowup)してみると、そこに…

17歳の頃

ポール・アンカが英語の歌詞をつけてシナトラが歌った「マイ・ウェイ」はフランスの歌手の曲でした。作者であるクロード・フランソワの39歳の生涯を描いた『最後のマイ・ウェイ』をBSで見ていると、聞き覚えのある曲が流れました。それはジャニス・イアン(1…

音楽と言語

久しぶりに山下洋輔さんの対談本『音楽㊙講座』(新潮文庫、2014年5月)を読んで、すごーく面白かった。前項の武田鉄矢とはまた一ランク上の言語能力による対談ジャム・セッションです。ジャズの演奏に一時代を築き、また文章においても面白くてためになる本…

武田鉄矢と言語能力

武田鉄矢の音楽も振る舞いもそんなに好きだという訳ではない。しかし芸能界ではその言語能力において優れていると言っていいと思います。前からうすうすそう思っていましたが、今回高倉健の思い出を本当にたくさんの人が語っていますが、『幸せの黄色いハン…

映画TrafficとAmericas

正月にスティーブン・ソダーバーグのSide Effectを観ました。けっこう面白かったけれど、僕にとってはソダーバーグと言えばTraffic(『トラフィック』、2000年)です。南北アメリカとそれをつなぐ麻薬がどのような、歴史的・文化的・地政学的な意味を持つか…

逃げるマルコ

さてずいぶんと引っ張ってきたオールスンの『特捜部Q 知りすぎたマルコ』(ハヤカワ、2014年6月)です。未解決事件専門の特捜部Qによる政府ODAの利権をめぐる犯罪捜査に、逃亡するロマの少年マルコの物語を絡めて、まさに巻を措く能わずでした。苦境にあ…

北欧の刑事たち

2014年のベスト・ミステリー10などを選ぶ気力と読書量はありませんが、強く印象に残った1冊は『特捜部Q 知りすぎたマルコ』でした。最近北欧ミステリーがブームの様ですが、50年前にはスウェ―デンのストックホルム警視庁の刑事マルティン・ベック・シリーズ…

一休み

12月6日から1月6日まで、32日間ブログを書き続けました。まぁ、書こうと思えば、それなりにいくらでも書けるのですね。問題は書きたいテーマなのかどうかが重要。それと読者(いるとして)が読んで面白いと思うかどうか。 最近ではブログ用のワードのファイ…

publicの意味

イシャーウッドの項でプレパラトリー・スクールが出てきました。preparatory schoolは日本語で「予備校」と訳された事も多いですが、それだと大学その他の学校進学のための受験生のための予備校の意味になってしまう。preparatory schoolは、イギリスではpub…

イシャーウッドと作品の受容

ミュージカル・映画『キャバレー』の原作は、イギリスのクリストファー・イシャーウッド(1904年 - 1986年)のGoodbye to Berlin (1939、『さらばベルリン』)の第2章Sally Bowlesです。書誌的には1935年にMr. Norris Changes Trains 、1939年にGoodbye to B…

キャサリン・ビグローとフェティシズム

年末のBSでみた『キャバレー』で、全体の狂言回しの役も務めるキャバレーのMCをジョエル・グレイが演じています。グレイは舞台でも同じ役でトニー賞を、この映画でもアカデミー助演賞を受賞していました。その娘のジェニファー・グレイは初主演した『ダーテ…

ボブ・フォッシーとミュージカル

年末のBSで懐かしい『キャバレー』を放映していました。『キャバレー』=ライザ・ミネリという印象がありますが、冒頭のダンサーの群舞シーン見ていて、やぁこれはボブ・フォッシーの振り付けだなと思っていたら、監督もフォッシーでした。原作はクリストフ…

ジャンゴとマイナー・スィング

中学生の時に兄のレコードを聞いていましたが、その中にMJQがあって特に「ジャンゴ」が印象に残ってしました。その演奏は1953年のアルバムDjangoではなく、1959年のPyramidの中のDjangoだったと思います。演奏はミルト・ジャクソンのヴァイブがイントロで、…