2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

The Ghost、またしても亡霊

ロマン・ポランスキーの新作『ゴースト・ライター』の特集を『キネマ旬報』(9月上旬号)で読む。イーストウッド作品についてと同様、小林信彦×芝山幹郎の対談が面白い。 原作は脚本も担当しているロバート・ハリス。原作の題名はThe Ghostだが、映画はThe G…

『憎しみ』の監督

始まりは在宅してみていた『クリムゾン・リバー』(2000)から。『レオン』のジャン・レノ主演のホラーがかったミステリーものだが、僕は見た後か、途中にネットで作品の情報を仕入れる癖がある。で監督を調べるとあの『憎しみ』(La Haine、1995年)のマチュ…

60年代の香り

ジャズ・フルートはサックス奏者の持ち替え楽器で、メインに吹いている人はハービー・マンとCTIで活躍したヒューバート・ローズ、そしてビル・エバンスとの共演で有名なジェレミー・スタイグ、ラテン・ジャズのデイヴ・ヴァレンタインなどを除いてはほと…

孤児としてのアメリカ

8月8日に「孤児の系譜」、8月13日に「若手翻訳者と孤児」を書いたのですが、その続き。 アメリカ文学にはメルヴィルからトウェイン、そしてフォークナーに至るまで、キャノン(アメリカ文学における正典)作家にも「孤児文学」といえる作品があるという事は…

バーボンも美味しい

また歯を治療しています。かみさんもお世話になっている駅前のN歯科ですが、N先生からFour Rosesのシングル・バレルを頂きました。スコッチだとシングル・カスクというのですが、いずれも単一の蒸留所と言うだけでなく単一の樽からのみ作られたウィスキー…

北大入学40周年

13日(土)は北大構内のファカルティ・ハウス「エンレイソウ」にあるレストラン「エルム」で、北大入学時のクラス(教養部フランス語のクラスの1つ)会をしました。出席は担任のY先生(喜寿)も入れて15名。 実は大方は時々会うメンバーなのですが、40年ぶ…

哲学するサーファー

ドン・ウィンズローの未読の文庫本をアマゾンで取り寄せた中に『夜明けのパトロール』(角川)があった。これがサーフィンを生きがいとする私立探偵小説でありました。舞台はカリフォルニアの最南端サンディエゴ近くのパシフィック・ビーチ。20年に一度とい…

若手翻訳者と孤児

北海道支部のF君がまた新訳を出しました。『紙の民』と同じ白水社から『デニーロ・ゲーム』。 『紙の民』が南米からアメリカへ越境するメキシコ人父娘を主人公とするポストモダン的な仕掛けが面白い作品でしたが、今度は一転してレバノンのベイルートを舞台…

大学祭

学年暦の検討の中で、授業回数を確保するために大学祭の日程縮小について大学祭の実行委員会とヒアリングをした。こちらは3名なので学生側も3,4名かなと予想していたら、10名くらいいて少しびっくりする。 委員長の他に、渉外・企画などの部長も出席したら…

若き日のウォルター・ウィザーズ

ドン・ウィンズローの作品に『歓喜の島』(1997)というのがあるが、この作品ではウォルター・ウィザーズが元CIA,現民間の調査員として、大統領候補の上院議員夫妻の護衛にあたる。時代は1958年で議員夫妻はケネディとジャクリーンがモデル。議員と絡む…

同級生の翻訳家

1971年北大入学の文類の第2外国語のクラスに担任が付いてホームルーム的な役割をはたしていた事について、そしてそのクラス(フランス語の6組)の入学40周年のクラス会をこの土曜日に催す事も何度もふれました。 そのクラスの名簿に東江一紀さんという著名な…

孤児の系譜

コジンスキーの「チャンス」も孤児でしたが、コジンスキー本人も孤児のような生涯を送った作家でした。第2次大戦中は亡命ユダヤ人の両親と分かれてポーランドで浮浪児として生き、1957年アメリカに亡命した後も、注目された65年の『異端の鳥』でも孤児的なと…

ただそこにいるだけの人

今日は月曜で、結婚記念日なので在宅しています。本当の理由は定期試験も終わり、土日にも出たので、久しぶりに家でのんびりしたいと考えたのでした。 ピーター・セラーズ主演の『チャンス』(1979、ハル・アシュビー監督)がスター・チャンネルで何回も放映…

市電と文化

法学部が法学カフェをはじめて、第1回に上田市長を呼んで札幌の市電を発展させる内容の話をしたらしい。北海学園大学は地下鉄の駅が構内にある全国でも珍しい大学で、特に冬は便利です。市電が冬にラッセル車を走らせるのは絵になりますが、雪国では地下鉄は…

レポートとネット

定期試験は今日が最終日で、火曜日に大量発生した不正行為はぴたっととまった。あれは何だったんだろう。最後の自筆ノートだと言い張った学生に処分を言い渡しましたが、そこでもコピーだと認めず、その後科目担当者と所属学部事務に電話をよこし、謝罪した…

教育と忍耐

レポートに不可をつけた学生から再提出をしていいですかというメールがあった。うーん少人数の演習クラスで不可を付けた記憶はないので、これはかなりひどいものだったので英断しました。学生が沈黙を守るか、謝ってくるか想像していましたが、何の弁明も謝…