2008-12-23から1日間の記事一覧

都市と黒人

アフリカ系アメリカ人の画家はそう多くない。アーロン・ダグラス(1899‐1979)、ジェイコブ・ローレンス(1917‐2000)くらいだろうか。アーロン・ダグラスの絵は、マンハッタンの北ハーレムにある市立図書館の分館ショーンバーグ記念館で見た。どちらもある…

フリーウェイを描く

2001年ニューヨーク滞在中に行ったグッゲンハイム美術館でウェイン・ティボー(1920−)という画家の回顧展と出くわした。こってりとした油絵による食べ物の連作と、フリーウェイに関する作品が印象に残った。 カリフォルニア育ちのティボーはサンフランシス…

物語るアメリカ絵画

アメリカ絵画の特徴は抽象画ではなく、具象画・リアリズムの絵だと思う。そしてアメリカ的な大衆文化の中で、コマーシャルな世界で生計を稼ぎながら自分の絵をかく画家が多い。イラストレーターと画家の二足のわらじを履く。その作品もどこかマージナルな趣…

異邦人の視線

イギリスの画家が陽光あふれるカリフォルニアでプールの絵を連作する。タイトルの「より大きな水しぶき」はホックニーを主人公としたドキュメンタリー映画のタイトルにもなる。そこには何故か水着の女性でなく裸の男性が描かれる。あとから知ったがデヴィッ…

アメリカを切り撮る

スイスに生まれアメリカに移住したロバート・フランクはウォーカー・エヴァンスの影響を受け、第2大戦後の繁栄を謳歌しているはずのアメリカを『アメリカ人』で描いた。それは先輩の眼差しと微妙に異なる異邦人の視線だった。写真集の表紙にも使われているこ…

都市を切り撮る

画家に比べると写真家の方が都市を被写体とする作品が多いようだ。不況期に活躍したウォーカー・エヴァンスの『アメリカン・フォトグラフス』は同時代のへミングウェイやエズラ・パウンドの名前をあげて文学的抑制と的確さと複雑さを併せ持つ、現代詩にも似…