ハイブリッド〜文系と理系

2週間ぶりに行ったテレビ塔近くのカジュアルな中華のお店では、置いてあるAeraを見ますが、標題の特集をしていました。1970年代に人文系の学生か院生で『瞬間と持続』(紀伊國屋書店, 1969年)や『火の精神分析』(せりか書房, 1969年)というタイトルを目にしたり、読んだりした人は多いと思います。フランスの科学と哲学そして文学をつなぐ研究にも多くの業績を残したガストン・バシュラール1884年 - 1962年)の著作です。
英文科にいた僕は英文学も読みつつ、時代の影響もありまた理系的な思考への憧れもあってバシュラールを読みました。英文学にはない理詰めで政治的なブランショの『文学空間』のような著作も。たぶんイギリスよりもフランスの方がヨーロッパの知の拠点であり、第2次大戦中のドイツの占領下にあった時の経験の反省や混乱を知識人がしている点も1970年代の日本の若者の心をとらえたのだと思います。良くも悪くも政治の季節だった時代でした。
さて文系の老人となった定年間際の大学教員として、理系的頭脳を持つ事を願望しているのではなく、理系的な思考を尊重する事が大事だと指摘したい。そして理系の人は文系の立場を理解するように努力すれば、かなりのこの世界は居心地がよくなるのでは。