ロンドンの思い出

 O教授のロンドン滞在のブログを読んでいるうちに、自分のささやかなロンドン体験を思い出した。1997年3月に8ヶ月間のフィラデルフィア滞在を終えて、春のロンドンに移りました。初めての1年間の在外研修をアメリカ文学にシフトしたとはいえ、英米文学の「英」、もといアメリカ文学も元々は英文学と称されていたので、「英」の方も経験したくて、中途半端ではあるけれどイギリスも目指しました。
 当時はサッチャリズムの影響か、客員研究員を志望したロンドン大学のキングス・カレッジでは、講義もないのに受講料を要求され、交渉して少し値下げをしてもらった記憶があります。最初はラッセル・スクエアのホテルに滞在し、フラット探し。4カ月と言う期間では物件も少なく割高でしたが、北西部のメイダ・ベイルという地区に落ち着きました。後から調べるとリトル・ベニスとも呼ばれているらしく、そう言えば確かに運河にボートが浮かんでいたような。この辺り、本当に記憶なのか、後から調べて得た知識なのか判然としませんが、だいたい記憶ってそのようないい加減なものなので。パディントン駅のもっと先と言う分かりやすいでしょうか。
メイダ・ベイルのエルギン・アベニュー―(これはちゃんと覚えています)から、確か6番のバス(あのダブル・デッカー)で30分くらいかけて、南東部のバンクスにあるキングス・カレッジまで通っていました。アラブ系の男性が水キセルを操っているカフェが軒を連ねているエッジウエア・ロードを下ってピカデリー・サーカスを通るルートと、北回りでリージェント・パークを回っていくようなルートがあった。とにかく、ロンドンの中心部を毎日通っていました。ロンドン大学って11くらいキャンパスがあって、大英博物館の北にあるユニバーシティ・カレッジは漱石も通ったので有名。大英博物館と言えば、かの有名な円形の閲覧室については、項をあらためて。