マッタリ警部の本格推理

 前項の『ノワール講義』の諏訪部さんの師匠筋にあたるのが昨年東大を退官された平石先生で、アメリカ文学会元会長、フォークナー協会会長であるけれど、『誰もがポオを愛していた』(創元推理文庫)で有名な本格推理の作家でもある。退官後は専業作家となって『松谷警部と目黒の雨』(2013)と『松谷警部と三鷹の石』(2014)を出しています。僕は飲みながら読む事が多いので、探偵小説の王道である謎解きを主眼とする本格推理はあまり得意ではないけれど、この平石先生のは面白いです。目黒の方はフットボール三鷹の方はカーリングが重要な役割をしている。フットボールと言えば、僕も翻訳仲間に入れてもらった『しみじみ読むアメリカ文学』でも平石先生はアーウィン・ショーの「80ヤード」というフットボールを副主題とする短編を選んでいました。