英文学をどう教えるか

 これも支部大会2日目の午後のシンポジウムです。H先生(北大英文の後輩)が司会兼講師で非人文系の学生にワーズワースの詩を教える例について発表。詩の韻律、表現の自由と形式、コンテキストの役割などを理系の学生に初歩から教えるその方法が工夫があって面白かったです。パワーポイントのスライドをプリントの左側に小さめに印刷して、右側は学生がメモを書くための余白にするなど。また各授業の最後に15分くらい質問を書かせて、次の授業の最初にそれについて答える。これは少人数(2〜30名)なら僕もしていましたが、このクラスは200名くらいいるそうです。
 次の群馬のM先生は英文科の学生に『ベニスの商人』を使ってディベートさせた例。これも面白いけれどディベートについての説明、ワークシートの作成と使い方の説明など大変そう。つまり教師の側の準備がかなり必要となる。また賛成・反対の明確になるようなテキストでないとうまく行かない。文学の曖昧性と少し矛盾するようだが。しかし論文でも発表でも主張の根拠が必要になる事を理解するにはいいトレーニングになるかも知れない。
 最後の東北大のI先生は院生にイエーツの詩を選ばせて読解をするゼミの例について。8名のゼミ生のうち3名が詩を専攻、後の5名は小説。しかしそのうち2名はハーディとロレンスなので詩も読まなければならないのだけれど、詩は難しいので、小説のみ研究すると言う事らしい。
 この中で詩を専攻する学生が気負って読み違えると言う例もあるらしい。が、やはり詩の技法について知っている方が正読できるようだ。
 このシンポもとても参考になりました。