Cortez, the Killer

NeilYoungが1975に発表したアルバムZuma所収の"Cortez, the Killer"の冒頭は"He came dancing across the water"というフレーズで始まる。「コルテスはガレオン船に乗り、銃を持って、踊りながら海を渡って来た」ろいうのは、スペイン軍人コルテスがスペインの期待を背に、勇躍して新大陸に到着した事を意味する。
 実はその前に3分ほどのヤングの激しいギター・ソロがある。
 そして歌詞はアステカの文明とモンテズマの偉業を語る。しかし最後で唐突に一人称の語りに変わる。

 And I know she's living there / And she loves me to this day / I still can't remember when Or how  I lost my way.
 
 (そして私は彼女がそこに生きている事を知っている。そして彼女は今まで私を愛している。私はいつ、どん な風に道を間違えたのか覚えていない。

 彼女とはコルテスのメキシコでの愛人の事で、彼は侵略の事を後悔しているとヤングは語らせる。しかしその直後に「虐殺者コルテス」として歌を終えるので、ヤングは南米の人たちの立場からヨーロッパ人の非道を告発している事になる。
 このアルバムだけでなくヤングはアメリカや白人の歴史上の愚行を何度となく批判する歌を書き続けている。その声は繊細で力強く、演奏は激しく同時にニュアンスに富むものなのが聞いて心地よい。