『北回帰線』の事など

 昨日は北海道支部の研究会で、北大の院生の井出君のヘンリー・ミラーの『北回帰線』を都市と身体の視点から読むと言う発表があった。
 彼は東北学院大学への赴任が決まっているので、旅立ちを記念する発表という意味合いもあり、盛会だった。
 発表は制度化・秩序化しようとする力(権力・体制)に対して、身体も都市も移動し流動するという結論だった。僕は身体と都市と言うアナロジーが身体が最初にあって、それをアナロジカルに都市に当てはめるか気になったそれはよく分からなかった。
 質疑ではミラーの位置づけが、世代的にはロスト・ジェネレーションより少し早いけれど、作風としては戦後のビートなどの先駆けと言う指摘もあった。また『北回帰線』は1934年の発表なので執筆時期はヨーロッパではナチスの台頭が始まっている時期でもあり、そのあたりの影響はどうなっているのだろうか質問。ミラーのイデオロギーの面は、無関心なのか、あえて作品の表面には出さないのか分からない。エマ・ゴールドマンとの交流もあったようだけれど。興味深い発表と質疑だった。
 懇親会も18名出席。藤女子大学が会場の時はいつも使う中華のお店「ビンリンフォア」。2次会も12名で「塩野谷」で。