歌人で官僚

 昨日は北海学園人文会の第1回例会とアメリカ文学会北海道支部の研究談話会があった。先に日程の決まっている例会を優先。しかも主催者で司会でもあったので。
 さて例会は昨年赴任されたT先生が、歌人逗子八郎と官僚井上司朗の再評価についての中間報告だった。一高〜東大のエリート歌人が、戦時中情報局の課長として言論統制の先兵となるこの矛盾をどうとらえるか。逗子八郎は自由律の新短歌運動を提唱するが、昭和16年課長となる時期に、定形短歌へ傾斜していく。この文学的変遷と国家権力の関係が興味深い。
 しかしフロアの歴史家からこの部署は実質的にほとんど文壇を支配する力を持っていなかったという指摘があった。そうかも知れないが、文学者がこの情報局に影響されて報国のための短歌作成に転じた行った事が重要だと思う。
 短歌は英文学の新批評のように詩の徹底意的分析には耐えられないようだ。つまり短歌の解釈は作者と切り離せない文芸だと思う。またT先生による率直な研究の現況説明が興味深かった。文学研究がテキストの分析だけではなく、作家と時代との関わりを丹念に追っていくことも重要なのは短歌と言う特殊な文学ジャンルによるものだけれど、それが面白い。
 終了後、キリン・ビール(アーバン・ビル)で親睦会。2次会はアメ文の仲間からの電話で、北18条の居酒屋へ。ここでは支部学会の将来について熱い?議論が交わされた。
 今日は雨なので、ゆっくり教養。明日は晴れればテニスの予定。