September, 11 再び

 前夜バッファローからの飛行機が遅れて夜遅くに帰ったので、その事件が起きた朝の9時半ころ現場から5キロほど離れたアパートで寝ていた。すると札幌から大丈夫?との問い合わせの電話があり、慌ててテレビをつけるとワールド・トレード・センターが炎上していた。そして次の瞬間には2棟目に旅客機がぶつかっていった。
 2001年の4月から半年の予定でコロンビア大学の客員研究員としてマンハッタンに滞在しいた、その最後にこの事件に遭遇した。帰ってから出た『ポストモダン都市ニューヨーク』の出版祝いの小さな宴を10月の学会先で開いた。その本にオースターとデリーロについて書いた上岡伸雄さんから今日届いたのがデリーロの新訳『墜ちてゆく男』だ。falling manは事件の象徴的なイメージで、ドキュメンタリーにもなっている。ビル内の火と熱さに耐えられず落下して行く人たちを待ち受けているのはほぼ確実な死。
 アメリカ国内・本土において初めて外部からもたらされた破壊と喪失。でもそれは中東の幾つかの地域で半世紀にもわたって繰り返されている事でもある。事件を生き延びたウォール街のビジネスマン、キースの事件後の世界を描く小説についてはまた項をあらためて。でも『ポストモダン都市ニューヨーク』で僕が担当したヒップホップについて、夏のセミナーに向けて再考しなければならないのも、何かシンクロニシティを感じる。
 書斎の反対側にあるフリー・スペースにおいた南米原産のパキラです。