2009-12-27から1日間の記事一覧

立っている木

今度は吉原幸子です。この室生犀星詩人賞を受賞した1965年の『幼年連祷』に入っている「無題」が時々心に浮かんできます。 吉原は三陽商会の創業者の妹で、幼い頃から萩原朔太郎や北原白秋の詩に親しんでいたらしい。東大仏文科卒業後、劇団四季に入団。アヌ…

帰郷

会田綱雄という僕の両親とほぼ同年代の詩人がいました。戦後「歴呈」の同人となり、高村光太郎賞などを受賞した人です。中国に従軍した時の体験をもとにした「伝説」という詩で有名ですが、僕は「帰郷」が好きで、平易な言葉遣いの詩なので英語に訳してみた…

もの騙る猿

東北支部のS先生から『シグニファイング・モンキー――もの騙る猿/アフロ・アメリカン文学批評理論』(南雲堂フェニックス)を献本して頂いた。S先生もとい清水菜穂先生がもう一人の方と監訳したヘンリー・ルイス・ゲイツ・ジュニアの代表的な著書の翻訳で、…

Ambarvaliaからかえらない旅人へ

(覆された宝石)のような朝/何人か戸口にて誰かとささやく/それは神の生誕の日 と書いたのは昭和8年(1933年)の『Ambarvalia』。それまでの憂愁と寂寥の日本的詩的世界とは異なる、明るい、透明なギリシャ的な言語空間を描きだした。それにとびきりアヴァ…