マリネと言葉の定義

マリネは肉・魚(スモークサーモン、ニシンなど)・野菜(タマネギなど)を、酢やレモン汁などの漬け汁に浸す調理法またその料理の事というのは結構知られています。しかし野菜だけのマリネはピクルスとどう違うのか、魚のカルパッチョとは同じなのかと聞かれると分からない。
例によってテレビを見て、料理人の説明のまずさ(間違い)が気になって確かめてみました。先ずマリネは素材に風味をつけたり、柔らかくするための下ごしらえで、漬け汁から出しても、漬けたままでもいい。Mariner(動詞です)の語源は、古フランス語の「海」なのでたぶん海水に漬けていたのでしょう。ですから漬け汁は、酢やレモン汁、ワイン、塩水などから作ります。風味を良くするために、オリーブ・オイルや香草・香辛料を加える。漬ける時間は比較的短く、多くは発酵を伴わない。しかし発酵するまで漬けた野菜のマリネはピクルスと変わらない。同時にピクルスは発酵させるのが基本だけれど、発酵させないピクルスの場合はマリネと区別がつかない。
 またマリネには非加熱・加熱・即席の種類があって、非加熱の時のマリネは、肉や魚にマヨネーズ・ベースの白ソースをかけたカルパッチョはとほぼ同じになりそう。料理に関心のない人にはあまり意味のない区別かも知れませんが、言葉(料理用語も含めて)が世界を区切って了解するための道具であり、その定義の基本と、近接する領域の重複が、世界の中心と周辺の関係に類似しているような。ちょっとこじ付けかも知れないけれど。