北海道とカナダ

 昨年アメリカ文学会の支部大会で平石先生が北海道とアメリカ文学の親和性について指摘していた。移民の国・地方で伝統から自由であるという。また来年の支部大会の準備として、カナダ文学を取り上げようとしている。アメリカを今では辺境とは言わないけれど、北米大陸の北に位置するカナダは、また別な意味で北海道とその辺境性において類似しているかも知れない。
 今年のノーベル文学賞はカナダのアリス・モンローが受賞した。マーガレット・アトウッドとマンローはカナダを代表する(女流)作家だが、重厚で広大な時間と場所を舞台とした物語を紡ぐアトウッドよりも、マンローの因習に縛られた小さな町の人々を描く短編が好きです。特に『イラクサ』という短編集の「恋占い」。
 水曜日の朝日新聞でマンローを紹介しているS先生は、先週の学会会場の明治学院の先生で、うちの支部のM先生(カナダ文学のシンポを企画している)に引き合わせて頂いた。この来年の支部大会の企画は、できれば全国大会のシンポにまで持って行きたい。せっかく9年ぶりに北海道で開催されるので、北海道のローカルティを活かすという意味で、カナダ文学を取り上げるのはいいアイデアだと思っています。