La Vita Nuova

これはダンテの『新生』でなくて、アメリカの作家Allegra Goodmanの短編小説のタイトルで、Best American Short Stories 2011に収録されている。このBest American Short Storiesのシリーズは懐かしい。短編の翻訳をする時に、先品を選ぶのに1990年代を中心に10冊くらい買いました。
 今回は支部のワークショップをお願いしているKさんがこの作品を院生に翻訳の技法を教えるのに使いたいと参考に取り上げたものです。で早速PDFで送られた作品を読んでみました。
 結婚式間際に婚約者に去られたボストンで美術の教師をしている若い女性(20歳そこそこ)が、その痛手から立ち直り、「新生」を始めるまでの短い作品です。しかし、タイトル通りダンテが引用されていたり、子守をしている男の子(6歳)との交流がうまく、作品を推し進めるドライブに使われて上手い作家だなと思いました。
 調べていると、作者は新人ではなく45歳くらいのユダヤ系女流作家でした。主人公のアマンダが新しいスタートを切る時、親しくなった少年と別れるのは、最初に彼女が捨てられたのとを逆の構図になっていて、構成としてもよく出来ている。
 翻訳すべき短編を探していた時もそうだったけれど、Kさんもこの短編を見つけるまでに、たくさんの短編を読んできたのだろうなと思います。またそのような「この一編」を見つける旅の様な作業自体も面白い。