ムッシュー

 同志社のF君から新しい翻訳が届きました。アメリカ文学の新人作家の翻訳と思いきや、何とロレンス・ダレル。懐かしい『アレクサンドリア・カルテット』。高松雄一先生の翻訳で読んだのは30年以上前です。当時『男と女』のアヌーク・エーメで主演で『ジュスティーヌ』が映画化された事も。
 このロレンス・ダレル、書簡集も出しているヘンリー・ミラーの影響を受けている事は確かだが、同時代的にはポール・ボールズの『シェリタリング・スカイ』も連想します。コスモポリタンというかデラシネというか、欧米の世界観を相対化する視点が面白いと思います。
 さてロレンス・ダレルの『アヴィニョン五重奏』の第一弾『ムッシュー』は、舞台がアヴィニョン。イギリスの作家がエジプト(アレクサンドリア)から地中海を経て、南仏に辿りついたようにも思えます。
 まだ読了していませんが、文学的なミステリーのようで週末ゆっくり読もうかと。2つのシンポジウムの要旨や原稿も待ち構えているけれど。装丁と装画も素敵です。