Los LobosからQuetzalへ

 1950年代ロックの創成期にバディ・ホリーと一緒に飛行機事故で亡くなったミュージシャンがいた。ロサンゼルス生まれのメキシコ系アメリカ人リッチー・ヴァランスです。彼はメキシコ民謡をロックンロール調にリメイクした「ラ・バンバ」の大ヒットでスターになりました。
 1987年に上映された彼の生涯を描いた映画『ラ★バンバ』の主題歌としてヒスパニック系バンドのロス・ロボスがタイトル曲をカバーし、全米1位の大ヒットになった。この「狼たち」を意味するバンドのアルバムを How Will The Wolf Survive? (1984年)あたりから聞いているが、2002年には Good Morning Aztlanでは、アズトランというアステカ人の伝説上の起源の地を意識したアルバムを作っている。このアストランは、南北アメリカの先住民の発祥の地として、特に国境を超えたメキシコ系住民を再統合するネーションのシンボルとなっているようだ。
 そしてロス・ロボスの後を受けて、ケッツァルというやはり南米の鳥の名前をとったヒスパニック系のバンドが登場する。ロス・ロボスのメンバーがプロデュースしたというアルバム"Worksongs"の冒頭の曲"This Is My Home"を12月のシンポジウムで見ました。ロサンゼルスのイースト・ダウンタウン、幾つもあるバリオ(ヒスパニック系居住区)の風景をなめながら、女性ボーカルが「これが私の故郷」といフレーズを繰り返す。それは愛おしさと悲しみと諦めとを含めつつ、ここに生きていくんだというマニフェストにように聞こえた
 http://www.youtube.com/watch?v=w9oyyJChTFc