ペレケーノスとの再会

 年末には仕事(研究、授業、委員会)を忘れて、のんびり本を読む事が多い。主としてミステリーだけれど、週末ごとに出る新刊とは別に、「今年のベスト・ミステリー」的な企画も週刊誌などであります。それらの大半はすでに読んでいるけれど、まだ手にしていない作品を読んだり、すでに読んだものが今年のベストに入っていて、書評を見て読み直したりします。
 で12月に出たジョージ・ペレケーノスの『夜は終わらない』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)を読む。ペレケーノスと言えばワシントンを舞台にしたギリシャ系移民の若者たちの人生(愛と友情と裏切りと犯罪)描いたワシントン・サーガが懐かしい。ギリシャ系移民という主人公もワシントンという舞台もそれまでにそれほど描かれた事がなく新鮮だった。
 その後に黒人の探偵デレク・ストレンジを主人公とする連作もワシントンと現代を描き面白かった。それで今回手に取った『夜は終わらない』は40代の白人の警官の、新人だった頃からの事件と人間関係を描く。ゆったりとした出だしから、幾重にもからまる事件が次第にその謎を明らかにしていく展開が面白い。そして主仁主人公は白人だけれど、黒人女性と結婚していて、その混血の子供との一家がアメリカ社会の中でどのように見られているか、時代の流れの中での人種意識の変遷も描いている。