柴田さんと競訳!?

 柴田元幸さんの『喋る馬』を購入。マラマッドの翻訳集だが、初出の雑誌『Coyote』については知らなかった。既訳のジャック・ロンドンとこれから出るへミングウェイもあるらしい。『モンキー・ビジネス』ではサリンジャーも訳していて、相変わらず凄い。『文藝』春の号で柴田さんの特集をしていたが、作家ではなく翻訳家の特集なんて初めてみたが、それほど文学界(そういうものがあるとして)で注目されているのだろう。
 で標題は一昨年『しみじみよむアメリカ文学』にマラマッドの「夏の読書」を訳出したので、おそるおそる比べてみた。"a neigborhodd boy"が「生まれ育った界隈にいまも住んでいる・・・若者」(柴田訳)、「近所に住む少年」(本城訳)を見て、勝負あったという感じですね。
 実は「近所に住む少年」は少し気になっていながら、そのままにしました。意味が何となく分かるようで分からない。それでいい場合もあるけれど、これは良くないケースだと自分でも思います。
 「同じ街」(邦高忠二訳)も違うと思う。「近所」とか「同じ街」とか訳すと、どこの近所か、どこと同じ街か言葉に敏感な読者だと気になってしまう。
 でもう一言付け加えると、柴田さんの訳も少し説明的になってしまっているとも言える(ような気がする)。翻訳って難しい、でも面白い。