ノワール探究

 きっかけはレコード屋で見つけた20世紀フォックスのクラシックDVD『ローラ殺人事件』(1945年)だった。フィルム・ノワールの傑作として有名な作品を初めて観た。
 主人公のローラが殺され、その捜査の過程で彼女の人生と人間関係が浮かび上がる。ローラ(ジーン・ティアニーが綺麗)に群がる、年上の作家、プレイ・ボーイ(後年ホラー映画のスターとなるヴィンセント・プライス)、そして刑事。途中で、殺されたのはローラではなく別人だと判明する。主人公のローラは無意識に男を操ると言う意味でファム・ファタールの典型と言えようか。そしてローラに次第に惹かれていく刑事マイク・マクファーソンを演じるダナアンドリュースのむっつりとした表情もノワールの暗い雰囲気を支えている。
 なかなかノワールって面白いなと思い、残っている研究費でDVD20枚ほどを購入する。
 『歩道の終わるところ』(1950年)は監督オットー・プレミンジャーと主演二人も同じ。日本未公開の作品で。同じくダナ・アンドリュース演じるマーク・ディクソンは犯罪者に厳しいタフな刑事。厳しすぎるとの評判の理由は最後の方で明かになるが、父親が犯罪者だったから。間違って容疑者を殺してしまい、その未亡人を好きになるという行き止まりのストーリーだ。ただジーン・ティアニーは逮捕されるマークを待っていると言うのが救いだろうか。
 写真はジーン・ティアニー(妖艶)とヴィンセント・プライス(背が大きいので切りました)。