続ノワール探究

復讐は俺に任せろ』(1953年)はフリッツ・ラング監督、グレン・フォード主演。捜査の過程で妻を殺されたデイヴ・バニオンが警察バッジを捨てて犯人を追う。ボスの手下(リー・マーヴィンが迫力)の情婦がデイヴを助ける。この情婦を演じるグロリア・グレアムがいい。蓮っ葉で、キュート。
 ロバート・シオドマク監督の『殺人者』(1946年)はヘミングウェイの短編が原作。殺し屋が来ても逃げようともしない主人公のストーリーを102分の長編に膨らませる。クレジットされていないが脚本の一人がジョン・ヒューストン。慫慂として殺し屋を待つ元ボクサーをバート・ランカスター。彼を騙すファム・ファタールエヴァ・ガードナーが演じる。この原作は1964年にドン・シーゲルが監督を前述のリー・マーヴィンが殺し屋を暴力的に好演する。殺し屋を待つ元カー・レーサーをジョン・カサベテス。最後にリー・マーヴィンもみっともなくもカッコイイ死に様を見せる。
 最後は『拾った女』(1953年)。監督はサミュエル・フラー。主演は脇役から主演にのしがったリチャード・ウィドマーク。地下鉄で女から財布を盗むが、その中に政府の機密が写されているマイクロ・フィルムが入っていた。ソ連のスパイと、警察とFBIに追われる前科3犯のスキップ・マッコイ。ニヤニヤしながら追っ手をまくスキップと彼にからむ情報の運び屋キャンディ(ジーン・ピーターズ)。ジーン・ピーターズはグロリア・グレアムと同様、蓮っ葉でチャーミング。この映画の後にハワード・ヒューズと結婚。
 犯罪者の情報を売るネクタイ売りの中年女性モーを演じるセルマ・リッターが世知に長けつつ哀歓あふれるせつない好演でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされる。
 写真はグロリア・グレアムグレン・フォード