短いほどいい?!

今朝の朝日の「天声人語」で楽曲のイントロの長さの話が出ていました。
 1976年の「ホテル・カリフォルニア」のドン・ヘンリーのボーカルが始まるまでの作曲者ドン・フェルダー(たぶん)のギターの印象的なイントロは50秒。しかし1980年代のヒット曲の平均的なイントロの長さは20秒強あったのに、20年後には半分の12秒に縮まっているようです。
 実は「天声人語」では5秒と書かれていて、これはネットで調べると諸説ありそう。いずれにしても、ゆっくりとイントロを流してAメロに入るよりは、いきなりAメロ〜サビと進む場合も、またサビから入ってAメロ〜Bメロに展開する曲も多いようです。
 動画も起承転結と言うような悠長な進行は視聴者が見てくれないので、結論からはじめて説明の画面に進むような展開も多いらしいです。
 実は先週「アメリカ文化論」でジャズを紹介した時の学生の食いつきがよくないのも、僕の説明がうまくないせいもあったでしょうが、ジャズの演奏のあり方が今の若者には向いていないせいもありそう。
 ボズ・スキャグスのブルース・ロックの佳曲「ローン・ミー・ア・ダイム」(1969年)はオルガンによるイントロが3分以上もあって、ボズの歌とギターが入って来るのはその後です。ギターはデュエイン・オールマンの方かも知れません。1975年の『ズーマ』所収のニール・ヤングの「コルテス・ザ・キラー」もよく授業で使いましたが、ヤングの無骨なギター・ソロによるイントロが3分以上あって、その後に歌が始まる。
 時間をかけてゆっくりと語る、そしてそれをじっくりと聞くというスタンスがなくなってきたのでしょう。時間を惜しんで、先に進んでその先に何を求めるのか。何があると思っているのか、よく分かりません。デジタルで躁病的な世界とは無縁で暮らしたい。
遅れてきたサンタ。