テレビが来た日

昭和58年(1958年)我が家にテレビが来ました。小学校1年生の時です。街頭テレビを見た記憶はありませんが、近くの定鉄(定山渓鉄道)の駅にカラー・テレビがあって「チロリン村とくるみの木」を見に行ったのを覚えています。テレビにはカーテンがかかっていて、画面を明るくするプラスチックのスクリーンのようなものを取り付けたりしました。家によっては、後から出てくる家具調のステレオもそうですが、床の間に飾ったりしました。
 今6回目の『トット・テレビ』を見て、テレビが登場してきた頃を懐かしく思い出します。NHKの『若い季節』に出ていた板前の平吉(渥美清)、そして若き古今亭志ん朝、女社長の淡路恵子がセクシーだと思ったのですからかなりませていたいかも知れません。6代目三遊亭圓生 も出ていたような記憶があるのですが、『若い季節』、『続・若い季節』、映画版『若い季節』も調べてみましたが、キャストに名前が載っていなかったので別な番組だったのかも知れません。ただ実に口跡のいい、でも前座を叱りつけるような気の短そうな性格がみて取れました。どんな別の番組だったろうか。
 同じ頃の『夢で逢いましょう』の方は、ドラマでなくバラエティーだったけれど、とてもお洒落な番組で、司会の中島弘子が首を傾けて上品に終わりの挨拶をする場面や、それをからかう渥美清が面白かった。小林信彦によると渥美清はこの番組で、浅草出身の芸人としてテレビの時代のモダンな芸風を試してみているとことのようだ。
トット・テレビ』の方は黒柳徹子の役に満嶋ひかりをキャスティングした点が番組の成功の8割以上を負っている。というか、彼女以外の当時のスターを演じる俳優には荷が重すぎる。それぞれ、それなりにうまく演じているとも言えますが。トットちゃんの素っ頓狂な上品さが満嶋ひかりによって、ハイテンションで可愛らしく演じられていて見て楽しい。しかし毎回の最後のお祭り的なシーンはなかなか難しいけれど。