ジョルジュ・ベンと「タジ・マハール」

「マシュ・ケ・ナダ」というタイトルを聞くと、1966年に大ヒットしたセルジオ・メンデスの音楽が耳に響いてくる人も多いと思いますが、作曲はジョルジュ・ベン・ジョール。ぼくは昔の名前のジョルジュ・ベンという方が馴染んでいるのでそれでいきます。さてジョルジュ・ベンは1945年リオ・デ・ジャネイロで生まれたブラジルのミュージシャンで、サンバにソウル、ファンク、ロックを取り入れたスタイルを確立した人です。「マシュ・ケ・ナダ」の他にも、2008年トヨタのCMに使用されていた「タジ・マハール」なども有名です。Taj Mahalは17世紀にインドのムガル帝国皇帝が死んだ妃のため建設した総大理石の墓廟で、インド・イスラーム文化の代表的建築ですが、同名のアメリカの黒人ミュージシャンもいて少し混乱するかも。
この「タジ・マハール」をロッド・スチュワートが盗作して「アイム・セクシー」を作り1979年に大ヒット。これは訴訟になり、ロッド側が敗訴します。後にロッド・スチュアートは自伝の中で意識していなかったけれど結果として盗作をしたと認めているようです。
 ここでは、ジョルジュ・ベンは同じブラジルの3つ年上のジルベルト・ジルと共演しています。ジルの方はボサノヴァに影響を受けてロック、ソウル、レゲエ、アフリカ音楽等、様々なジャンルの音楽を吸収してトロピカリズモという音楽文化を牽引した人で、文化大臣を務めた政治家でもあります。
 アコースティックでシンプルな演奏ですが、だからこそラテン音楽のビートと肉体性を聞いて感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=LL-MWkMb07A