modernの射程距離

マクベス』は1606年に書かれたが、それは近代の始まりとも近世とも言われます。宗教改革ルネッサンスによって神が世界を支配した中世が終わり、”modern”の時代が始まりますが、この言葉を使われる時代が長く、現代まで続きます。”modern”という語は、”measure”を意味するラテン語の”modus” から来ていて、ミステリー・ファンなら「犯行の手口」(modus operandi)という表現を知っているでしょう。それが“just now”を意味する”modo”をへて”modern”になる。
 その”modern”が「近世・近代・現代」まで幅広く意味するので、というかこの語しかないので区別が付きずらくて面倒な気がします。シェイクスピアが戯曲を執筆した1589年から1613年は、英語の歴史では初期近代英語(early modern English)に属し、ジェームズ王の欽定訳聖書と並んで、この時代の代表的な英語として挙げられています。初期近代英語は中英語時代の末の1450年頃から1650年頃。現代英語しか知らない人でも理解できる程度に現代英語に近い。
 欧米の世界ですが、中世以後支配者は神から人間に移りましたが、まだ封建領主や国王の時代が続きます。ただ我々の考える封建制度よりは、例えばイギリスでは、絶対王権の時代から清教徒革命や王制復古のように宗教に関する支配者の変遷、そしてスコットランドアイルランド併合・独立のように民族と地域の絡む支配・被支配の問題が多いようです。
 で”modern”は20世紀まで使われ続け、「現代史」は第1次大戦後と今では言うそうです。そして21世紀はポスト・ポストモダンでしょうか。