マクベスと土曜の午後

土曜日の2年生科目「人文学演習」でティム・オブライエンの「レイニー河」を読み始めたけれど、同時に読んでいる4年生とあまり変わらない。4年生の英語力が落ちているのか、2年生の英語の力があるのか。でもスムースに授業が進むと心が落ち着く。土曜日のお昼なので久しぶりに平岸駅近くの蕎麦屋さんへ。鴨せいろの鴨がレアで味付けをして別皿に盛ってある。それを洋芥子を付けて食べてもいいし、汁に入れてもいいというスタイルで面白い。
 午後は家に帰ると邪魔にされる?ので、研究室で今月末締め切りの公開講座の要旨を考える。『マクベス』がテーマなのですが、ロマン・ポランスキーの1971年版を取り上げるので、その視点の準備。今のところポランスキーと同じポーランドの評論家ヤン・コットの『シェイクスピアは我らの同時代人』(1961)を参考にして書いています。シェイクスピア研究にコペルニクス的な展開をもたらしたと言われるものですが、『マクベス』論の部分を読むと、マクベスが殺人を犯す事を人間の究極の体験として「アウシュビッツ体験」と表現しているのが興味深かった。1914年生まれのコットは、共産党員としてポーランド軍ソ連軍に入り、パリでも反ナチのレジスタンス活動をしたらしいが、1933年生まれのポランスキーは少年としてアウシュビッツを体験している。それと妻のシャロン・テート殺人事件を起こしたマンソン・ファミリーと1960年代のカルト集団の問題など。ポストモダンの時代の混沌と暴力など、切り口はあるが、それらのつなげかたが論じる際に重要だと考えて、帰宅。