竹鶴21年がきた

卒業延期の4年生や退学しそうな3年生と面談していると、次第に気持ちが落ち込んできます。そんな時にはどんな音楽が有効か。普通に考えるなら、楽しい気持ちにしてくれる愉快な音楽。その次は美しい音楽。またはショック療法で悲しい音楽。これは落ち込んでいる気分を持ち上げるのではなく、さらに下降させて、いったん落ちるところまで行ってみる。底をついたところで、反転して上昇のエネルギーに逆転させる事ができればOKですが、下に行きっぱなしだと困ります。
 もう一つは意味のない音楽。軽薄で意味がないという事ではなく、抽象的な音楽を聴いて、意味の世界からの一時的な離脱を図る。朝、セシル・テーラーのライブを聞いて、このニュージャズの巨匠のピアノに身を任せて通勤しました。この言語的な意味から遠い、しかしとてつもなく美しい鍵盤楽器の音は、中途半端な意味の世界に拘泥している無意味さを強烈に意識させてくれて、爽快になってきます。
 そして早期退職するIさんから竹鶴21年が送られてきました。体調を壊したので、この1年少し代わりをしたり、お手伝いをしたのですが、そのお礼という事のようです。謙虚に誠実に人と接し、仕事をしてきたこのIさんに対しては、本当に心からできる事はしてあげたいという気持ちになりました。
 さてこの竹鶴をいつ開けるか。