声の力、懐かしい響き

帰宅途中、家に近くなった時にシャッフルしてかかった曲が「バマコ」。西アフリカのセネガルのユッスン・ン・ドール(1959年生まれ)の歌でした。彼は歴史を叙事詩として歌うグリオと言う世襲の歌い手の継承者。1980年代ロックが世界の様々な音楽やリズムを取り入れ、また世界の様々なローカル・ミュージックがロックやポップ・ミュージックのフォーマットを使ってワールド・ミュージックとして世界に知られるようになった動きの代表格の一人だった。
1982年にイギリスのヴァージン・レコードと契約し、元ジェネシスピーター・ガブリエルと出会う。越境や横断が双方にとっていい影響を与える好例と言えるだろう。ン・ドールのアルバム『ザ・ライオン』(1989年)や『セット』(1990年)は歌が元々持つ声の力、そして太古から連綿と続く懐かしい響きに溢れていて、音楽を聞く喜びを思い出させてくれる。