ジョン・ボナーというピアニスト

 最近そして今も聞いているビリー・ハーパーの『ブラック・セイント』(1975)のピアノを弾いているジョー・ボナー(1948年生まれ)が昨年11月21日亡くなっている事がさっき分かった。享年64才。1970年代にアート・ブレーキ―、ロイ・へインズ、フレディ―・ハバードのサイドメンとして活躍。 
 スタイルはマッコイ・タイナー〜ジョン・ヒックス系のゴンゴン弾きまくるタイプ。でも一方ではセロニアス・モンク〜セシル・テーラーの影響もありそう。特に70年代ファラオ・サンダースの7枚のアルバムでピアノを弾いているのでお気に入りと言うか合っているのでしょう。ここでも何回も取り上げている『ブラック・ユニティ』もそう。  
しかしファラオの『ライブ』(1982)ではジョン・ヒックス(1941〜2006年)がピアノ担当です。そしてファラオのJourney to the One (1980)とRejoice (1981)ではヒックスとボナーの両方が曲によってピアノを弾いています。ジョン・ヒックスの方はアーサー・ブライス、デヴィッド・マレーとの共演も多いので、少しフリー寄りか。デヴィッド・マレーとは11枚で共演、ファラオとは5枚で、マレーの作風との親和性が少し強い。
コルトレーン以後の1970年代のテナー・サックス奏者が採用するリズム隊(ピアノ、ベース、ドラム)のピアノは、マッコイの影響を受けつつ、ハービー・ハンコックの洗練も備えた、ヴァ―サタイルなピアノ・スタイルが必要だったと思います。冥福を祈りながら『ブラック・ユニティ』を聞いていると、かみさんが不思議な音楽とでも言うような顔をして掃除機を持って通り過ぎました。