物語の額縁

最近かみさんにNHKの『100分の名著』を付き合わされています。その中の『フランケンシュタイン』についての番組を見て、改めて考えてみましたが、この作品は「枠物語」というか「額縁小説」である事はずいぶん有名でもありますよね。「額縁小説」というのは、主たる物語の前に外枠(=額縁)があって物語の由来などを説明する。『フランケンシュタイン』の場合、外枠は北極を目指していた船長のロバート・ウォルトンが姉マーガレットに宛てた手紙で、その中でヴィクター・フランケンシュタインウォルトンに自分の話を物語る。でもさらに興味深いのは『フランケンシュタイン』には、「序文」(1818年版)と「まえがき」(1831年版)も付されていて、執筆の経緯や意図が記されている。
いま読んでいるクーパーの『開拓者たち』(1823)は額縁小説ではありませんが、やはり物語の前に出版者にあてた「はじがき」(1823)と読者に向けた「序説」(1832)があって、基本的には読者への教育的な配慮なのかなと思います。でもこれから皆さんが読む物語は、作者がどこどこの屋根裏でみつけた手記で本当の話なんですよって言っているようなんですが、現代の読者にとっては、はなから虚構である事が分かっているので、微妙に物語にすっと入っていくのに邪魔な様な気もしますし。