本の顔

本の装丁は大事だ。中身が良くても(中身が一番重要だが)、本の表紙が良くないと読む気が削がれる。見た目が大事なのだ。中身も大事だけど。少しくどいかな。さてロバート・パーカーのスペンサー・シリーズやフリーマントルのマフィン・シリーズを長く手掛けていた辰巳四朗が2003年に65才で亡くなっていた。というのはチャーリー・マフィンの新作翻訳で気付いたのだが、亡くなった後の装丁があまり良くない。辰巳さんのデザインはメインになるもの(人や靴など)1点に焦点を当てたのが多くて、すっきりしている。後の人のデザインは例えば、パスポート・列車・電話をかける顔など点数が多い。内容に関係するのだろうが、10×15cmの文庫の表紙ではごちゃごちゃしています。写真は第1作『消されかけた男』(1979年)のジャケットです。よれよれのハッシュ・パピーがチャーリーのお気に入りの靴でした。この靴が風采の上がらない、でも辣腕のスパイの外見と内容のギャップを象徴しています。僕もカジュアルな服装の時にスエードのハッシュ・パピーを黒と茶の2足を愛用していました。しかし最近買い換えたのは縫製が前ほどかっちりしていないので、あまり履いていません。