新しい試み

ずいぶんと何度も書いているロックやソウルの歌詞を読む演習の新しい試みの記録です。というのはどんどん訳して行くと取り上げる曲がさらに必要になるので、ゆっくりと言葉の意味を確認し、複数の解釈も示しながら、1回90分の授業で1曲にしようかと。学生は訳・解釈・背景説明・質疑で30分。後の60分は訳と解釈の確認、映像を見て、先週の場合は「悲惨な戦争」を学生が選んだので、フォーク・ソングについてその歴史について紹介。それでも60分の資料を用意するのは結構大変だ。40分過ぎに終了してしまった。
でも歌詞をじっくり読むのはいいと思います。と言うか、ずっと1回2曲で進行して来たので、それがあまりよくなかったんですね。つまり曲数を用意すれば、歌詞の解釈は深めないで済ませてきたような気がします。
たとえば今回学生が選んできた「悲惨な戦争」。各バースで繰り返される最後の2行”Won't you let me go with you? / No, my love, no” を学生は語り手(女性)の心の中での自問自答とする。訳は「あなたと一緒に行ってもいい? / いや、私の恋人よ、それはできないわね」。しかしそれだとこの2行を少し変えた最後の2行“Won't you let me go with you? / Yes, my love, yes” の“Yes, my love, yes” の解釈がすっきりしないと説明したのですが、今考えてみるとそうでもない。
僕は各連の最後の2行は”Won't you let me go with you? ”があるので、語り手(女性)と恋人との対話と解釈する。それを受けた最後の連は恋人(男性)の答えとして解釈が成立する。つまり「あなたと一緒に行ってもいい?/いや、私の恋人よ、それはできない」が、「あなたと一緒に行ってもいい?/いいよ、恋人よ、そうしよう」となり、恋人は説得された事になる。
来週は”Imagine”で90分できるか。今年は寒暖の差が激しいせいか、玄関の銅葉のマンサクがきれいです。