若手研究者の窮状

STAP細胞の論文について、その先見性が注目され、研究者の若さや美貌がメディアでもてはやされ、次に論文の問題点が指摘され、研究や研究者がたたかれる。注目されない文系の地方の一研究者としていろいろと考えさせられた。
 そんな時、一昨日からまた教務的な事故が発生し、昨日はその処置と事後処理に追われました。もちろん詳細については言えませんが、極めて抽象的に言えば、そしていまメディアで問題になっている人物との共通点を探れば、30代の若手研究者が置かれている状況/窮状かなと思いました。
 例えば一般論で、大学院を出たけれど、安定したポジションがないケースが増えている。文系なら大学の専任教員になる事ができれば、教育と雑務が大変だけれど、研究を続ける事はできる。それがかなわない場合は非常勤講師を複数の大学で務めて、専任のポジションを探し続ける事になる。それが数年ならいいけれど、10年近くたち、30代も後半になると焦りも出てくるでしょうね。理系で研究所に所属すると、大学の様な仕事はないけれど、今度は研究の業績を出さなければ、在任し続ける事ができないかも知れない。
 理系の先端的な研究は、おそらく世界中で似たような研究が発見の間際まで行っていて、誰が一番に発表するかのスピードが競われていると思う。すると当然のように、不十分でも、一部外の資料を借りても、先に発表したいと言うようになる気持ちは理解できる。でもそこで踏み止まらないと、今回のような事件になってしまう。
 新聞の第一面のニュースと地方の一私大の事例と無理に結び付けたい訳ではないけれど、追い詰められた優秀な若い人への理解(同情?)と、それはしちゃいけないよと言うお叱りの気持ちが併存したケースでした。