法廷侮辱罪と裁判官の権威

前項の『ザ・クリミナル 合衆国の陰謀』主要テーマは、ジャーナリストの情報提供者の秘匿、情報源の保護であった。裁判で情報提供者を明らかにするように求められて主人公がそれを拒否した結果の罪状が、「法廷侮辱罪」(contempt of court)だった。この「法廷侮辱罪」がアメリカのリーガル・サスペンスなどを見ていると結構出てきて気になるものでした。法廷侮辱罪というのは、判事の訴訟指揮権を強化するための制度であり、刑事訴訟手続きにおいて裁判の進行を妨げることを罪と規定している。どうも民法では異なるようだ。「法廷侮辱罪」という言葉のイメージから、法廷で悪態をつくとか、暴力的な行動をするとかをイメージするが、上記のように、証言拒否を含めて裁判官への不服従について拡大?利用されているような。
裁判官が法廷に登場すると、”All rise for your honor”(裁判官の入廷です、全員起立)と係官が大声で言ったり、検事や弁護士が判事に話す時にいちいち”your honor”と言い、それが「閣下」とされると、裁判官には権威が必要だけれど、少しオーバーな気もします。この裁判官の過剰な権威は、開拓時代の法制度の整っていなかった時代の名残か、有罪か無罪かを陪審員が決める裁判における裁判官の権威付けのように思えます。