超絶技巧のロック・ベーシスト

年末にビリー・シーン(1953年生まれ)の映像を偶然見て、また超絶技巧のロック・ベーシストを発見した思いです。デイヴィッド・リー・ロスのバンド等で活躍していたビリー・シーンMR.BIGを結成し、1989年にアルバムMR.BIGでデビュー。バンド名はFreeの1970年のアルバムFire and Water中の曲名から取ったものです。Freeの方は解散後、ボーカルのポール・ロジャースがドラムスのサイモン・カークと、ギターのミック・ラルフス(元モット・ザ・フープル)、ベースのボズ・バレル(元キング・クリムゾン)と有名な元4人によって、バッド・カンパニーを結成しました。
さてロックの超絶技巧ベーシストであるビリー・シーンは、ヴァニラ・ファッジのベースシストだったティム・ボガートを自分のフェイヴァリット・ベーシストとしている。ボガート(1944年生まれ)の方は、ヴァニラ・ファッジ時代の仲間だったドラマーのカーマイン・アピスそしてジェフ・ベックと1973年にベック・ボガート & アピスとしてアルバムを発表しても有名。
でも僕はこの後のベックのフュージョンというかジャズ・ロックというか全編インストルメンタルのBlow by Blow (1975)と Wired (1976)が好きです。クロスロード・ギター・フェスティバルで、トレモロ・アームでビブラートをかけつつ、”Cause We've Ended as Lovers”(スティービー・ワンダー作曲)を演奏して聴衆をシーンとさせた場面は今でもよく覚えています。前にも紹介した例の白人女性ベーシストのタル・ウィンケルフェルド(21歳)がベックと共演した2007年のフェスティバルでした。
さてタル・ウィンケルフェルドよりも33歳先輩のビリー・シーンの方は、ワイルドなフレーズとディストーションの多用による歪んだサウンドで後のベーシストに多大な影響を与えたようです。ライブでは、ストラップを短くして、ベースを胸かみぞおちの辺りに当てて演奏しているため、肘を曲げて弾いています。映像で見てみると、その抱え方は、弦の高音部を弾いたり、右手を軽く弦の上において、左の指で弾いたりするためのように思えました。また、左手でコードを抑えて、右手で軽くはたくスラップ奏法も使って、とても多彩なソロを数分か演じていました。