孤独のB級グルメ

孤独のグルメ』という連載漫画がテレビ化されている事は知っていましたが、また正月テレビ漬け?でみてしまった。輸入雑貨商の井之頭五郎が下町や仕事先で経験する食事は、どちらかというとB級グルメ。で、アマゾンでどんなものか見ようとしているうちに、新装版1,200円がKindleで588円なのでつい買ってしまいました。
漫画の方は扶桑社の雑誌で1994年から1996年にかけて連載。原作は久住昌之、作画はわが鳥取県出身の谷口ジロー。連載終了後の2000年に文庫本が発売され、じわじわと売れ続けて2008年には累計10万部を突破したようです。2012年テレビ東京で実写化され、Season3まで放送。その一部を何となく見てしまったんですね。
やはり谷口ジローの作画を観ると、時間が静かに流れるようでいいです。食べ物自体の味だけでなく、それにまつわる記憶とそれを提供する場(食堂やそこの常連たち)が重要なのだと思います。それが後にも少し書きますが、実写よりも漫画の方が有効だと思います。特に第5話の「東京北区赤羽の鰻丼」がよかった。なぜかお酒を飲まない五郎が入ったお店は朝からお酒を飲む人たちの店だったんです。羨ましい。
 舞台となる赤羽は埼玉県にも近い北区の下町で、朝からやっている食堂や居酒屋もあるらしい。下町の変なプライドはなく、誰でも受け入れてくれる雰囲気。その独特の文化を描いた『東京都北区赤羽」という漫画もある。
 漫画の実写化の難しさは、『ペコロスの母に会いに行く』でも同様です。つまり文学の映画化とは別な意味での違和感があるんですね。文字による描写を読者はそれなりに心の中でイメージしているでしょうが、漫画の方はすでに絵=外的イメージで表現されているので、それが現実の俳優や映像と重ならない。それを前提として漫画の実写化があるのでしょうが、もう少し原作=漫画に寄り添わないと成立しないような気がします。漫画の読者の期待を超えるような映画の映像化ならいいのでしょうが。または、読者の少ない漫画の実写化ならいいですが。