1960年代のテレビ西部劇

フィルム・ノワールの代表作『深夜の告白』(ビリー・ワイルダー監督)は、ロサンゼルスの保険外交員ウォルター・ネフ(フレッド・マクマレイ)が顧客の自宅で美貌の後妻フィリス(バーバラ・スタンウィック)に出逢い、不倫の関係に陥り、保険金目的の夫殺しに荷担してしまう物語です。ただ個人的にはバーバラ・スタンウィックは1965年からはじまり、日本でも人気を博した『バークレー牧場』の女家長としてインプットされていました。『バークレー牧場』(The Big Valley)は1870年代のカリフォルニアを舞台に、ビッグバレーで牧場を営むバークレー一家の家族ホームドラマ&西部劇です。
 またネフを演じたフレッド・マクマレイは『うっかり博士の大発明 フラバァ』(1961)の教授として最初に見ていて、後から『アパートの鍵貸します』での嫌な上司として再登場します。でもその後はまた『パパ大好き』というテレビのホームドラマでやもめのお父さんを演じて好評を博しました。
 さて『バークレー牧場』に話を戻すと、ヴィクトリア((バーバラ・スタンウィック)となさぬ仲の3男ヒースを演じるリー・メジャースは後にテレビドラマ『チャーリーズ・エンジェル』でブレイクする女優ファラ・フォーセットと結婚します。しかしファラ・フォーセット・メジャースはライアン・オニールと不倫関係になって離婚したらしい。
 長女オードラ・バークレーを演じたリンダ・エヴァンスは日本ではあまり知られていないけれど、アメリカでは『ダラス』と並ぶ大人気ドラマ『ダイナスティ』でよく知られています。映画ではスティーブ・マックイーンの遺作 『トム・ホーン』(1980年)で相手役を演じていました。
 さて1959年から1960年代にアメリカで作られた『ライフルマン』、『ボナンザ』、『ララミー牧場』、『ローハイド』は日本でも放映されました。が『ワイオミングの兄弟』はあまり評判にならなかったような。僕はバーバラ・ハーシー(1948年)が印象に残っていました。The Monroesという原題のこのドラマはワイオミングに入植する途中両親が亡くなって、兄と姉(バーバラ・ハーシー)が弟や妹たちと入植して苦労する話だった。
 バーバラ・ハーシーは『去年の夏』(1969)で、後に『いちご白書』で主演するブルース・デイヴィソンと共演しています。監督は先日の学会でもふれた『泳ぐひと』のフランク・ペリーマーティン・スコセッシ監督の『明日に処刑を』(1972)では共演したデヴィッド・キャラダインと同棲とか。その後、『ライト・スタッフ』(1983、フィリップ・カウフマン)、『ナチュラル』(1984、バリー・レヴィンソン)、『ハンナとその姉妹』(1986)と順調にキャリアを重ねて行きます。
 1960年代のテレビ西部劇絡みで、フィルム・ノワールと今も活躍する俳優の個人的記憶について書いてしまいました。