バッハ学

今回のおススメはだいぶ前に買ったけど、今もiphoneで愛聴しているBachology 。「バッハ学」なのですが、邦題は『バッハ・イノヴェイション』で、「バッハのインベンション」をもじったものです。
80年代から活躍しているミュージシャン、レーベル・オーナーでもある才人トット・テイラー(Tot Taylor)のプロデュースによる1995年のジャズによるバッハ曲集。トットさんはイギリスの大瀧詠一と言われている?音楽はジャジーでポップ、ダンサブルでおしゃれなのでクラブ・ジャズとも言える。
12曲の内で特に気に入った曲目と演奏家

2 “Sidelines”by Mick Bass & Tracey McSween (based on 'Sheep May Safely Graze')
『狩のカンタータ』( Hunting Cantata)の第9曲「羊は安らかに草を食み」がテーマです。バッハの世俗カンタータの中では最も古く、冒頭のアリアは、1969年から2011年まで放送されたNHK-FM放送の長寿番組「バロックの森」(後に「朝のバロック」)オープニング曲に編曲され有名。
ドラムの打ち込みをバックに比較的正統的にアリアが歌われます。

6 “Suburban Picture” by The Sound Barrier(based on 'Sleepers Awake' Wachet Auf)
神の国の到来への備えを説く(『マタイ伝』)カンタータ第140番『目覚めよと呼ぶ声が聞こえ』がテーマです。トランペットを冒頭のソロ楽器として、次に出てくるオルガンがヨーロッパ・ジャズ的。と言うか、オルガンというのはバッハのバロックとジャズの共通点ですね。その後はサックスやピアノも登場して、普通のジャズになっているとも言えますが。フランスのギャング映画でのクラブやバーの場面ではジャズ・オルガンが効果的に使われていた記憶があります。

9 “Toccata Salata” by Glamorre & Kaczor (based on Toccata & Fugue In D Minor)
テーマはバッハのオルガン曲のなかでも特に人気の高い「トッカータとフーガニ短調」。トッカータ部の印象的な旋律で始まる。フーガ部は他のバッハのフーガと比べると強弱が交互に出現する比較的単純な構成。ストコフスキーが出演・指揮した映画『ファンタジア』でも演奏されている。とりわけ開始部は非常に有名であり、突然訪れた悲劇をパロディ的に相対化する効果として使われるようです。ここではユーモラスな打楽器とブラスによる出だしに、電子楽器の打ち込みと弦楽器がフーガ的に追っかけ合うのが面白いです。