オオカミの憂鬱

 本当に久しぶりに円山動物園に行きました。5〜10年ぶりくらいだろうか。家からはバスで北海道神宮前まで行き、神宮を通って森の木できた路を通って動物園の入り口に着きます。
 入ってみると以前のような動物園の臭いがしない。建物の中に入るとそれなりにというか、時にはきつい臭いもしますが。それと動物の展示(では変だろうか?)がゆったりとしていて動物に配慮しているような。これは世界的な、もしくは全国的な動物保護の観点からの傾向なのだろうか。悪くはないけれど、もともと野生の動物を捕獲していて、飼育・展示しているのだから、動物にとっては不本意?だろうなと思ったり、動物園で生まれた動物も多いから、特に不満は感じていないのかも知れないな、と思ったり。
 爬虫類の建物が面白かったです。オランウータンの母子が仲良くて可愛らしい。モンキー・ハウスの熱帯のサルが餌を食べている様子が知り合いの誰かに似ているという事ではなく、でも人間に仕草が似ていてその類似性に思わず笑ってしまう。
 そしてコーマック・マッカーシーの『越境』に関連して北米のオオカミにも注目しました。グレイの毛色の大型犬くらいの体型で、シベリアン・ハスキーを思わせるハンサムなオオカミでした。檻の大きさや待遇も悪くなさそう。でもそれは動物園にしてはという事で、やはり野山を駆け巡るようにはいかない。危険や飢えはないけれど、退屈な日常に少々アンニュイに見えたのは人間の視点からだろうか。
 動物園に団体で見学に来ている幼稚園や小学校低学年の子供たちの楽しそうに騒いでいるのも動物園に必要な景色だろうか。円山動物園が周囲を円山の自然に囲まれているのが、動物園の人為性を少しだけ忘れさせてくれていいロケーションだなと思いましたね。もちろん動物たちが自然の中にいるのではないけれど。
 もう少し美味しい食べ物が用意されていればいいのだけれど、こういう場所にはおにぎりかサンドイッチを持参して、芝生で食べればいいのでしょうね。