My Favorite Things補遺

 10日前に書いたMy Favorite Thingsの補足です。My Favorite Thingsの3つの演奏について比較しましたが、似た時期の1965年位発表されたAfrica BrassではGreen Sleevesをソプラノで吹いていて、このイギリスの民謡(フォーク・ソング)とMy Favorite Thingsに曲調が似ている。どちらも可愛らしい8分の6拍子の曲で、コルトレーンはソプラノ・サックスに合うような曲を探していたんだなと。この8分の6拍子って3拍子ではなくて、2拍子だそうです。でもジャズ・ワルツ的な曲と言うか演奏に聞こえますが。
 関連してついさっきアマゾンで購入したThe John Coltrane Quartet Playsは作品的には『至上の愛』(1964年)と『アセンションの』(1965年)の間に当たるアルバムで”Chim Chim Cheree”を聞くために買いました。この”Chim Chim Cheree”も前記2曲と似ています。演奏はアルバムMy Favorite Thingsの半年くらい後で、ソプラノでの演奏もより慣れてきたように思える。
 因みに、”Chim Chim Cheree”はミュージカル『メリー・ポピンズ』の中の曲で、主演はジュリー・アンドリュース。『サウンド・オブ・ミュージック』の主演でもあり、この時代のミュージカルにはジャズ・ミュージシャンの演奏したいと言う気持ちをとらえる佳曲が多いのかな。もっともジャズのスタンダードは映画音楽などのポップ・チューンがジャズが取り上げて結果的にジャズのスタンダードとなるケースが多いのだけれど。
 ついでにアルバムSelflessness収録のMy Favorite Things(63年ニューポート)のロイ・へインズのドラムスが、スネアのパタパタがうるさい?とい思っていたのですが、録音がドラムスを強くとらえてしまってバランスが悪いのかなとも思います。ライブの録音って難しい。アトランティックとインパルスというレコード・レーベルによる録音ポリシーの違いなどもありそう。ロイ・へインズは楽歴が長く、多彩で僕はけっこう好きなドラマーなのですが、この演奏はいまいちかな。チック・コーリアのNow He Singsでは最高のプレイでしたが。
 一方、アルバムMy Favorite Things収録の同曲を聞くと、エルヴィン・ジョーンズのドラムスが豪放なイメージに似ず、シンバル・レガートでリズムをとりながら、適宜タムタムやスネアを交えながら抑え気味に演奏しているのが微笑ましいというかチャーミングです。