ファンキーでタイトな『ヘビーメタル・ビーバップ』

32GBのiphone5を買ったので、またアマゾンでいろいろCDを物色しては買っています。スピリチュアル・ジャズ研究用や懐かしの1970年代のジャズもふくめて。
ブレッカー・ブラザーズヘビーメタル・ビーバップ』(1978)。タイオルとアルバム・ジャケットに惑わされてはいけない。でもどういう意味だろうか。1978年当時は「ハードロック」が「ヘビーメタル」として台頭してきた頃だろうから、ジャズに先鋭的なロックを取り入れた新しいジャズ・ロックと言う意味?「ビーバップ」はモダン・ジャズの創生期の名称なので、これも新しいタイプのモダン・ジャズと言う意図だろうか。当時はフュージョン(・ジャズ)と言っていたけれど、ファンク的な自由奔放さもリズムやアドリブやのりにあって、何でもありの滅茶苦茶さが面白い。もちろんそれを支えているのが音楽的な技巧。
 特にロック系ドラムのテリー・ポジオとベースのニール・ジェイソンの強力なリズムの上で、ランディ・ブレッカー(トランペット、兄)とマイケル・ブレッカー(テナー、弟)による超絶技巧的なユニゾンと言うかホーン・アンサンブルがすごい。ポジオはなんとフランク・ザッパのバンドに在籍していたので、少々の変態的(いい意味で)には慣れている?
 ランディの少しフリーキーなファーアウトするフレーズと、マイケルの圧倒的な技巧に支えられたクールと言うか無機質的なフレーズが、タイトなロックのビートの上で、メカニカルでかつ熱いソロを繰り広げている。マイケルはアコースティックなバラードではあまりきちんとし過ぎた演奏でつまらない時もあるのですが、お兄さんのランディのちょっと変わった曲では、きちんとした節回しと飛んだフレーズをうまく組み合わせたような、クレバーでテクニカルで、でも熱いという不思議で魅力的な演奏を聞かせてくれます。
実はネット上のアルバム評も参考にしたのですが、「怒涛」、「超絶」、「ハイテンション」、「神がかり」等々、とても熱い評価が多いのも驚きでした。